なるほど! そうだったのか、数学。
数学を納得して理解するには、小学校から高校まで学ぶ算数・数学のうち、とくに押さえておくべき「重要キーワード」を一つひとつ理解して、体系的・構造的に学ぶことが大切です。
いまや、数学は、受験対策などの交換価値や、便利な道具として使用価値の有無ばかりが強調されるようになってしまいましたが、本来は、生活経験や体験によって得られた知識をベースにした素晴らしいな思想体系です。そして、その思想は、小学校の算数という初歩の段階から、しっかり流れ続けているのです。
学生のころに新鮮な気持ちで学んだ算数や数学を、いまふたたび深めることこそ、数学の本質に迫る「近道」といえるでしょう。
好評の『なっとくする数学記号』(ブルーバックス)の著者にして、数学教育を知り尽くした専門家による「学びなおし」の決定版『学びなおし! 数学 代数・解析編』。そこで取り上げた数学を理解する29のキーワードから、さらに厳選したトピックをご紹介していきます。
*本記事は、『学びなおし! 数学 代数・解析編 なっとくする数学キーワード29』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
連続量には外延量と内包量がある
連続量には外延量と内包量があります。
長さ、重さ、広さ、体積、時間のような広がりのある量を外延量といい、速度、密度、濃度、温度といった外からは捉えにくい質的な量を内包量といいます。
外延量は「ものさし」や「はかり」などを用いて数量化しやすいのですが、内包量は外延量などから作り出される量であり、目に見えないので理解が難しいのですね。
外延量の特徴は、広がりのある量という言葉のとおり、加法性があります。
長さ20cmと長さ30cmを合わせると長さは50cmになります。
つまり、20cm+30cm= 50cmということです。基数(集合数)は加法性があり、外延量の仲間と考えます。
かたや内包量は、外延量を使って割り算から作り出される量ですので、質的な量といえます。
たとえば、距離や時間は外延量です。この外延量を使って作られる新たな量である時速 = 距離/時間は、内包量です。
割り算(商)で定義される内包量は、大きく分けて二つに分類できます。
- 異なった外延量の割り算(商)で定義される量:これは「度」と呼ばれています。
- 同種の外延量の割り算(商)で定義される量:これは「率」と呼ばれています。
内包量は加法性を持つとは限りません。ここが外延量とは異なります。
実際、時速60kmと時速40kmを加えても時速100kmになるわけではありません。
60km/時+ 40km/時≠ 100km/時
それぞれの内包量を詳しく見ていきましょう。