「冷やすより温めるほうが簡単」は本当か?…意外と知らない、冷蔵庫が冷えるしくみ

物理に挫折したあなたに——。
読み物形式で、納得!感動!興奮!あきらめるのはまだ早い。

大好評につき5刷となった『学び直し高校物理』では、高校物理の教科書に登場するお馴染みのテーマを題材に、物理法則が導き出された「理由」を考えていきます。

本記事では熱力学編から、冷却についてくわしくみていきます。

※本記事は田口善弘『学び直し高校物理 挫折者のための超入門』から抜粋・編集したものです。

冷蔵庫はなぜ冷えるのか?

熱力学第二法則は低温熱源から高温熱源への熱の移動が絶対にできないことになっているが、それはあくまで自発的な場合に限られる。外部から仕事をする場合はまったく別である。

普通の熱機関は、高温熱源から熱1を受け取り、低温熱源に熱2を吐き出すことで、

熱1-熱2=仕事

の大きさの仕事をする動力機関である。

もし上の図(右側)のように、外部から仕事をすることで、このプロセスを逆転させて、低温熱源から熱2を受け取り、高温熱源に熱1を移動させることができれば、低温熱源の温度をさらに下げることができる。式にすると下記のようになる。

熱2+仕事=熱1

このように、熱機関は、外部から仕事をすることで、「低温熱源から熱を汲み出して高温熱源に捨てる」という本来なら不可能な作用を実現する機械(=冷却器)に簡単に変更できる。これはモーターを逆回しすると、発電機になるのと非常に似ている。

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