迷惑をかけても絶対謝らない…職場を壊す「自分だけは悪いと思わない人たち」の頭の中

根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち6刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

自分が悪いとは思わない

職場を腐らせる人を変えるのが困難な一因として、自分が悪いとは思わないことが挙げられる。職場を腐らせる人たち第1章で紹介した事例の多くは、周囲が注意しようが、辟易しようが、同じことを繰り返している。これは、受信器の感度が少々低いせいではないかと疑いたくなるが、それだけではないだろう。自分の落ち度を決して認めたくなくて、自己正当化のメカニズムが働くせいでもある。

自己正当化は嘘よりも厄介だ。なぜかといえば、嘘をついている人には、その自覚があるが、自己正当化は知らず知らずのうちに行われ、その自覚がないからだ。当然、自分が悪いとは思わないし、反省も後悔もしないので、同じことを繰り返す。この傾向、つまり反復強迫は、自己正当化が功を奏して周囲から許容されたり黙認されたりした過去の成功体験が大きいほど強まるように見受けられる。

もっと厄介なのは、自分には「例外」を要求する権利があるという思いが確信にまで強まっているタイプであり、フロイトは〈例外者〉と名づけた(「精神分析の作業で確認された二、三の性格類型」)。〈例外者〉は、法律あるいは世間一般の常識では許されないようなことでも自分だけは許されると思い込みやすい。

もちろん、通常はそんな「例外」を認めてもらえるわけがない。そこで、自分だけが「例外」を要求することを正当化する理由が必要になる。それを何に求めるかというと、ほとんどの場合自分が味わった体験や苦悩である。

このような体験や苦悩の責任は自分にはないと〈例外者〉は考える。必然的に、自分には責任のないことで「もう十分に苦しんできたし、不自由な思いをしてきた」のだから、「不公正に不利益をこうむった」分、「特権が与えられてしかるべきだ」との認識を持ちやすい。

  • 老化と寿命の謎/飯島裕一
  • モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち/楊海英
  • 老化と寿命の謎/飯島裕一
  • モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち/楊海英
  • 8月の発売予定
  • 現代新書100(ハンドレッド)創刊!
  • AIは短歌をどう詠むか/浦川
  • 意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く/渡辺正峰
  • AIは短歌をどう詠むか/浦川
  • 意識の脳科学 「デジタル不老不死」の扉を開く/渡辺正峰
  • 8月の発売予定