なんと、「紀元前から」探し始めて、まだ「たったの51個」…じつは「偶数しか見つかっていない」完全数の、じつに「謎だらけ」性質

52個目の完全数を探せ!

完全数を探索する努力は、ずっと継続して続けられてきました。

2ⁿ-1の形の素数を見つければ完全数が見つかるので、この形の素数の判定法なども研究され、新しい完全数が見出されていきました。1950年代以降は、コンピュータによって探索が続けられています。

高校生が発見した完全数もあります。25番目の完全数2²¹⁷⁰⁰(2²¹⁷⁰¹-1)は、1978年にアメリカの高校生、ノル君とニッケルさんによって発見されました。ノル君は翌1979年にも、次の完全数を見つけています。

偶数の完全数を見つけることはメルセンヌ素数を見つけることに尽きるわけですが、 現在では、新しいメルセンヌ素数を見つける意義は完全数を見つけることそれ自体にあるというより、大きな素数を見つけることにシフトしています。

現代社会の情報のセキュリティは暗号によって守られていますが、この暗号は大きな素数によって守られています。大きな数を素因数分解する困難さが暗号の解読を困難にしており、大きな素数を見つけることは現代社会の重要なニーズでもあるわけです。

メルセンヌ数は素数の判定がしやすいことがあって、大きな素数が発見されたときは、メルセンヌ素数であることが多いのです。現在、51個のメルセンヌ素数が発見されていますが、最大のメルセンヌ素数は、2018年12月に発見された2⁸²⁵⁸⁹⁹³³-1で、なんと24862048桁の大きな数です。

したがって、現在発見されている最大の完全数は2⁸²⁵⁸⁹⁹³²(2⁸²⁵⁸⁹⁹³³-1)となり、この数の自分自身を除いたすべての約数の和が、この数自身になっているはずです。気の遠くなるような話ですが、実際に計算をして確かめなくてもわかるところが数学の威力です。

はたして52個目のメルセンヌ素数、そして完全数を発見するのは誰なのでしょう。

6月28日はパフェでも食べながら、古代から多くの数学者が探求し続けてきた完全数に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

*この記事は、2021年6月28日に配信したものを再編集したものです。

*好評の西来路さん、清水さんによる数学記事、次回は7月7日公開予定です。お楽しみに。

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