2024.08.02

「逮捕」…「投獄」…「破竹の快進撃」を続けていたヒトラーについに「ストップ」が…!

ヒトラーは、どのようにして大衆の支持を得て独裁者となったのか。安楽死殺害やホロコーストはいかにして行われたのか。ナチ体制は、単なる暴力的な専制統治ではなく、多くの国民を受益者・担い手とする「合意独裁」をめざした。最新研究をふまえて、未曾有の悪夢の時代を描く。

*本記事は、石田 勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。

ミュンヒェン一揆

この頃、ナチ党の党員数は五万人を超えていたが、単独で政権奪取を狙える実力はなかった。だが手をこまねいていては時流に取り残され、台頭の好機を失う。そう考えたヒトラーは軍と保守派との連携を図った。レームがバイエルンの右翼団体を束ねて共闘組織をつくり、ヒトラーがその指導者となった。ヒトラーはルーデンドルフを担ぐことに成功したが、肝心のカールらとの信頼関係を築くことができなかった。

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シュトレーゼマン首相が「消極的抵抗」の中止を宣言した一九二三年九月末、これに反発するバイエルン州政府は、内乱の勃発に備えると称して非常事態宣言を発し、反共和国の急先鋒、カールをバイエルン州総監に任命した。カールは大きな権力を手にし、共和国の倒壊をめざして動き出した。

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