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新NISAつみたて投資枠のメリット・デメリットは? 成長投資枠との違いや使い分け方も解説

2024年から始まった新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が用意されています。つみたて投資枠と成長投資枠の違いや各メリット・デメリット、上手な使い分け方について、疑問をお持ちの方は多いでしょう。本記事では、新NISAの「つみたて投資枠」に焦点を当て、つみたて投資枠の仕組みやメリット・デメリットを解説します。新NISAを賢く使いこなしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。(監修者:金融オンラインアドバイザー 金谷理恵)

新NISAの「つみたて投資枠」とは? 仕組みを解説

まずは、新NISAの仕組みから見ていきましょう。新NISAには「つみたて投資枠」「成長投資枠」という2つの枠があり、それぞれ1年間で投資できる金額の上限(年間投資枠)や購入できる商品(投資対象商品)が異なります。

つみたて投資枠と成長投資枠は併用でき、2枠合わせて年間360万円分まで商品購入が可能です。非課税保有期間は無期限のため、新NISA口座で保有している商品はずっと非課税で運用できます。

新NISA制度の概要
※引用元:金融庁 NISAとは?(外部サイト)をもとに作成

新NISAのつみたて投資枠は、長期・積立・分散投資を支援するための枠です。投資可能商品は一定基準を満たす投資信託に限られており、最大で月10万円の積立が可能です。ただし、つみたて投資枠で生涯投資できる金額(総枠)は、成長投資枠と合算して1,800万円までとなっています。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
「長期積立分散投資」は資産形成の基本です。つみたて投資枠の生涯非課税投資枠(総枠)は1800万円ですが、月々5万円を30年間積立投資をすると投資元本は1800万円になります。非課税保有期間が無期限という「新NISA最大のメリット×複利のパワー」を活用することで、将来的にかなりの運用収益が見込めるでしょう。



新NISAつみたて投資枠の4つのメリット

次に、新NISAのつみたて投資枠のメリットについて解説します。

新NISAつみたて投資枠のメリット


メリット1 非課税で運用できる

つみたて投資枠で購入した商品の利益は非課税になるため、課税口座で運用するよりも手元に多くの利益を残せるのがメリットです。

例えば、積立投資で10年後に100万円の利益を得たとします。課税口座に積み立てた場合は約20万円が税金として差し引かれますが、つみたて投資枠を使って積み立てた場合は税金がかからず、利益の全額100万円(手数料等は考慮せず)を受け取れます。


メリット2 安定的な運用ができる

つみたて投資枠は、任意で設定した金額分の投資信託を、毎月決まった日に購入し続ける「積立投資」に使うのが基本です。これは、同じ商品を一定額、定期的に買い続けて購入価格をならす「ドル・コスト平均法」と呼ばれる投資手法で、長期運用においては安定的な成果が期待できるといわれています。

もちろん「ドル・コスト平均法を実践すれば絶対に損しない」というわけではありませんが、長期的な資産形成を目指す場合には特に有効で、再現性の高い方法です。投資に不慣れな初心者の方でも、つみたて投資枠を使った積立投資なら、リスクを抑えつつ安定的な運用ができるでしょう。


メリット3 対象銘柄が厳選されている

つみたて投資枠で買える銘柄は、金融庁が厳選した、長期の積立・分散投資向きの投資信託だけです。

<つみたて投資枠対象銘柄の要件の一例>
・販売手数料はゼロ
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)
・信託契約期間が無期限または20年以上
・分配頻度が毎月ではない
・デリバティブ取引による運用を行っていない(ヘッジ目的の場合を除く)
引用元:金融庁 つみたてNISAの概要(外部サイト)

多くの投資信託から長期運用向きの銘柄を選ぶのは、初心者にとっては難しいことです。うっかり手数料の高い商品やリスクの高い商品を選んでしまう心配がない点は、つみたて投資枠の大きなメリットといえます。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
運用にかかるコストは低い方が投資効率は良くなります。新NISAで買える銘柄は販売手数料がかからず、運用管理費用(信託報酬)が低いものが対象ですが、もし銘柄選びに迷ったら運用管理費用を比較してみると良いでしょう。



メリット4 自動積立で手間がかからない

つみたて投資枠を利用する場合、最初に自動積立の設定を行います。一度設定すれば、あとは毎月決まったタイミングで自動的に投資信託の積立が行われるので、自分で商品を購入する手間がありません。途中で積立額を変更したくなったときも、各金融機関のサイトから簡単に手続きできる場合がほとんどです。

忙しい方も、忘れっぽい方も、つみたて投資枠を使った積立投資なら、長く続けることができるでしょう。


新NISAつみたて投資枠の4つのデメリット

続いて、新NISAのつみたて投資枠のデメリットについて解説します。

新NISAつみたて投資枠のデメリット


デメリット1 年間に投資できるのは120万円まで

つみたて投資枠で購入できる投資信託は、年間で120万円までです。つまり、12カ月間で毎月同額を積み立てる場合、1カ月あたりの積立額は10万円が最大となります。

つみたて投資枠の上限いっぱいまで投資しても余力がある場合は、さらに成長投資枠を使って投資信託をスポット購入するのも1つの方法です。


デメリット2 すぐに大きな利益を出すのは難しい

つみたて投資枠で資産形成するなら、すぐに大きな利益を出すのは難しいことを理解しておきましょう。なぜなら投資信託は、株式などに比べると値動きの幅が小さい商品だからです。「今日買って、明日には倍になっている」なんてことは、まず起こりません。

つみたて投資枠を使うときは、コツコツ積立を続けることを前提に、長期的な目線で運用計画を立てましょう。


デメリット3 上場株式は購入できない

先述のとおり、つみたて投資枠で買えるのは、長期の積立・分散投資向きの一定の投資信託のみに限られています。そのため、つみたて投資枠で上場株式の購入はできません。NISAを使って上場株式を購入したいときは、成長投資枠を利用しましょう。


デメリット4 17歳以下は対象外

新NISAの対象となるのは、18歳以上の成人のみです。17歳以下の方は、そもそも新NISAの口座を開設できないので、つみたて投資枠を使うことはできない点に注意しましょう。


「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の使い分け方

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、使い分けに悩んでいる方もいるでしょう。以下は、上手な使い分け方の一例です。

つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け方の一例

つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け方に、明確な正解はありません。いろいろと試してみて、自分がしっくりくる使い分け方を探してみましょう。


まとめ

新NISAのつみたて投資枠は、投資信託の積立投資に活用できます。ドル・コスト平均法を実践することにより安定的な運用成果が期待できるので、老後資金や子どもの大学進学費用など、数年後・数十年後のための資産形成と相性がよいです。自動積立で管理の手間もかからないので、投資初心者の方はつみたて投資枠を活用した積立投資から実践してみてはいかがでしょうか。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
最近は「新NISAをどのように活用していくのがよいか」というご相談がとても多いですが、資産形成の基本は「長期積立分散投資」です。おすすめの考え方は、「つみたて投資枠」を資産形成のコア部分として、時間を味方につけて低コストで全世界株式など王道のインデックスファンドを使ってコツコツ積立投資を行うこと。そして「成長投資枠」はサテライト部分として、少しリスクをとって攻めの投資を応用編として活用いただく。そうすると、安定した積立投資と攻めの運用、両軸からの資産形成が可能です。投資はできるだけ長期で保有する方が有利ですから、新NISAの非課税投資期間が無期限であることの恩恵をしっかり享受していきましょう。


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本記事に掲載されている情報は2023年12月15日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

  • プロフィール

    監修者:金谷 理恵のプロフィール画像

    監修者:金谷 理恵

    日本FP協会認定 2級FP技能士、日本証券業協会認定 証券外務員一種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー

    保険会社で経験を積み、提案の幅を広げるため保険だけでなく証券も扱う保険代理店に転職。豊富な金融業界経験を活かし、保険を手厚くするより資産形成を促すことをモットーに、株式会社400Fが運営する「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして活動している。

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