アップルが発表したレポート
アップルは7月20日、同社が2015年にApple Watchを発売して以降に手がけてきた「健康情報を活用するアプローチ」についてまとめたレポートを発表した。
この連載でも以前に、Apple Watchと心疾患の早期発見についての記事〈心臓専門医が語るApple Watch「心電図」アプリの実力〉を掲載したが、同レポートは、スマートウォッチやスマートフォンを用いてヘルスケアをチェックするという昨今の動きが、どのようなかたちでつくられているのかについてまとめられたものだ。
「スマートウォッチで健康に関する情報を得ること」や「スマートフォンで健康情報を管理すること」は、我々ユーザーにとってどのような意味をもっているのか? アップルはどのような考えのもとに、今回のレポートをまとめてきたのか?
アップルのヘルス担当バイスプレジデントであるサンバル・デサイ博士に話を聞いた。
17領域・150以上の健康データを収集
まずは、現行のアップル製品におけるヘルスケアがどのような情報を集め、我々が健康を理解するために活用されているのかを確認しておこう。
現在のiPhoneには、標準で「ヘルスケア」というアプリが入っている。「ちゃんと中を見たことがない」という人も案外たくさんいそうだが、じつは、驚くほど多彩な情報が記録されている。特に、Apple Watchを併用している場合には、さらに多くの情報が集められる。
アップルによれば、収集されているのは17の領域・150以上のデータであるという。
次期OSでは睡眠情報も管理可能に
現状ではエクササイズや心拍、呼吸などの情報が中心だが、この秋に公開される「WatchOS 9」では睡眠の情報も詳しく記録されるようになる。
これだけ多くの情報が収集されていることに、「自分の健康データが勝手に集められ、使われているのではないか」と、ある種の不安を覚える人がいるかもしれない。
だが、その点は安心してほしい。
「ヘルスケア」アプリのデータはiPhoneの中に暗号化されて格納されており、ユーザー自身が許可しないかぎり、他のアプリやサービスがその情報を使うことはできないからだ。データはアップルのサーバー内に保存されているが、やはり暗号化されているため、その中身を確認できるのは個々のユーザー本人だけ。アップルでさえ、見ることはできないようになっているのだ。
それではいよいよ、アップルのヘルス担当バイスプレジデント、サンバル・デサイ博士の話を聞いてみることにしよう。