まずは語源から考えてみる
いーいこーるえむしーじじょう。
数式で書くとE=mc2。世界一有名な物理学の方程式である。
今回は、この数式の意味を深掘りしてみたい(えーと、実用面とかではなく、むしろ概念の深掘りです)。
まず最初に、記号の意味を語源まで遡って見ておこう。
Eはエネルギー(energy)、mは質量(mass)、そしてc はラテン語の迅速さ(celeritas、ケレリタス)の頭文字だ。エネルギーはギリシャ語由来だ。ἐν(エン)と ἔργον(エルゴン)で、「内部にある、仕事する能力」という意味である。
あれ? なんだかイマイチ面白くないですな。早速、物理学的な話に入るとしよう。
エネルギーってなんなのさ
エネルギーという概念はとらえどころがない。エネルギーは変幻自在に姿を変える。
エネルギーがつく言葉を適当に思い浮かべるだけでも、電気エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギー、重力エネルギー……と、まさに枚挙にいとまがない。でも、不思議なことに、あまり学校でエネルギーという概念「そのもの」について詳しく教わった覚えがない。
なぜだろう?
実は、この問題、大学や大学院で専門的に物理学を修めた人でも、あらためて、
「エネルギーってなんなのさ」
と突っ込まれたら、そんなに簡単に答えることはできない可能性がある。それほどエネルギーは物理学において厄介な概念なのだ。
しかし、見方を変えれば、逆にエネルギーはきわめてシンプルな問題だと開き直ることも可能だ。それには、こんなふうに考えればよい。
シンプルな考え方:存在するモノにはすべてエネルギーがある
この命題の対偶をとれば、次のようになる。
エネルギーがないモノは存在しない
そう、エネルギーがゼロということは、モノとして存在できない、ということなのだ! 物理学がモノの理(ことわり)をあつかう学問であるならば、物理学はエネルギーをあつかう学問と定義することも可能なわけだ。
エネルギーは、あまりにも根源的な概念なので、厄介であると同時に、シンプルに考えれば、存在そのものだともいえる。