いま日本はどんな国なのか、私たちはどんな時代を生きているのか。
日本という国や日本人の謎や難題に迫る新書『日本の死角』が8刷とヒット中、普段本を読まない人も「意外と知らなかった日本の論点・視点」を知るべく、読みはじめている。
ここでは、「家族はコスパが悪すぎる?結婚しない若者たち、結婚教の信者たち」という文章の一部を掲載する。
若者が結婚しにくい理由
厚生労働省が公表した2022年の人口動態統計の速報値によれば、外国人と海外で生まれた日本人の子どもを含む出生数は79万9728人だった。国内生まれの日本人の出生数はさらに少なく、統計のある1899年以降、初めて80万人を割り込むことが確実になったという(朝日新聞2023年2月28日付など)。
筆者はこれまで、「日本の少子化の要因は、結婚した夫婦が子どもを多く産まなくなっていることにあるのではなく、結婚しない人の割合が増加したことにある」と強調してきた。
なぜ若い男女が、結婚という選択をしなくなっているのか。
少子化対策を熱心に言挙げする人々は、しばしば仕事と子育ての両立難や、若年男性の経済的困窮をとりあげて、「若者は結婚したくても、できない」というリアリティを強調してきた。
しかし、それは事態の半面でしかない。