わたしたちはいつまで金銭や時間など限りある「価値」を奪い合うのか。ベストセラー『世界は経営でできている』では、気鋭の経営学者が人生にころがる「経営の失敗」をユーモラスに語ります。
※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。
醤油の味を楽しみたいのか、それとも…
〈醤油に刺身や漬物をひたひたに浸して食べる人がいる。
そうした人は醤油の味をつけた料理を食べたいのだろうか、それとも本当は醤油を飲みたいのだろうか。
ここで「いや、刺身も漬物も、本当は醤油を飲むための緩衝材なんだ」と主張したい人もいるだろう(健康診断で高血圧の項目が問題になるまでは私もその一人だった)。〉(『世界は経営でできている』より)
醤油の味を楽しみたいのか、大量の塩分を体内に取り込みたいのか、どちらなのだろうか。
当然、前者だろう。
塩分を摂りすぎの時代に、どのようにすれば良いだろうか。
〈減塩醤油を用いなくても醤油の味を楽しみつつ塩分摂取を抑える方法はある。
たとえば醤油を料理に刷毛で塗ったり、スプレーで散布したりするなどだ。高級寿司店で使われる調理法である。この方法なら醤油の味はそのままで醤油の使用量を抑えられる。
そもそも醤油は舌の表面にある味蕾と接して初めて味覚として意味をなす。だから味蕾と接しないほどの(ひたひたの)大量の醤油は「醤油の味を楽しむ」という目的に対して過大である。これでは無駄に塩分を摂取し無駄に健康を害するだけだ。〉(『世界は経営でできている』より)