夫・中田敦彦さんが『中田敦彦のYouTube大学』で公開した『妻・彼女のトリセツ』。妻の気持ちが分からない…とボヤきながら、どうしたら妻の気持ちが理解できるかを解説する中田さんの姿は大きな反響を呼び、「あっちゃん何かあった?」を心配の声が寄せられた。

なぜその動画が公開されたのか。その背景にあったのは、生後4カ月の息子を含む3人の子供の育児と1匹の犬と過ごす半月ほどの福田さんのワンオペ体制と「お土産問題」にあったーー。前後編でお届けする後編。前編「福田萌、「あっちゃん何かあった?」と心配されていた夫の動画…発端になった「夫婦喧嘩」」で描いた「モヤモヤの背景」。そこで福田さんの口から出た言葉は。

前編『福田萌、「あっちゃん何かあった?」と心配されていた夫の動画…発端になった「夫婦喧嘩」』を読む

夫が、すがる思いで購入した本

夫が日本での仕事を終えて帰ってきた。夫は一時帰国中に体調を崩したらしく、「ただいま」の言葉も言ったか言わないか、そのままベッドに入って行った。そして数日寝込んだ後に回復したのだが、私への労いの言葉もないままに「次の帰国ではもっと大きいイベントをやるぞー!」と自身のコミュニティで高らかに宣言していた。

私はモヤモヤが募っていた。

夫のイベントを応援したくて半月間送り出したつもりだったが、それを当たり前のように思っているのであれば、もっと大きいと言われる次のイベントは絶対に応援しない。そう心に固く誓った。

でも心の中に留めておくには限界が来て、ある日の夜中に爆発した。「あなたはお土産も買ってきてくれないじゃない!」

私からこの言葉が不意に出たのは自分でも驚きだった。お土産を期待して半月間過ごしていたわけではないし、今までお土産にこだわったことなんてあったかな?そんな会話をしたこともなかったので、これまでの出張でも夫がお土産を買ってくることはほとんどなかった。

夫の中でも「え?お、お土産?」と思ったそうだ。前に漆塗りのお椀を買ってきた時はそんなに嬉しそうにしてなかったじゃないか、と。

「東京ばな奈でいいから買ってきてよ!」と私は言っていた。
夫は「東京ばな奈好きだっけ?」と。私は「好きだし、空港ですぐ買えるでしょ、それでいいから買ってきてくれたっていいじゃない」夫も私も夫婦喧嘩の着地点がまさかの東京ばな奈を買っていないことに落ち着いて、2人とも呆然としていた。

 

私は次の日の朝、なんで東京ばな奈なんだろう、と考えた。夫はすがる思いで『妻のトリセツ』のこの本をKindleで購入したらしい。そしたら、『妻のトリセツ』にはまさにお土産に関する記述があって、夫は「これ赤ペン先生で習ったところだ」ばりに「これ妻が言っていたことだ」と驚いたらしい。

夫・中田敦彦さんの動画のベースにもなった脳科学者 黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』(講談社)
〜女性脳は、家事をしていても、仕事をしていても、愛しく思う相手の顔がふと頭に浮かぶ。(中略) 外出先で美味しそうなお菓子を見つければ、「買って帰ったら喜ぶかな」と思っている。それが女性脳にとっての“愛”なのだ。

一方、家を出れば妻の顔など、思い浮かべさえしないのが男性脳。長い年月、狩りをし、戦いを続けてきた男性脳は、出がけに見た妻の顔色や表情なんぞに気をとられていたら、マンモスに押しつぶされるか、敵に弓矢で射貫かれて、たちまち命を落としてしまう。〜 
黒川伊保子. 妻のトリセツ (講談社+α新書) (p.76). 講談社. Kindle 版.

そう、まさに私は半月間の私自身の頑張りを、一瞬でも夫に思い出して欲しいと思っていた。一方の夫は、そんな中、成功するかしないかは自分次第というプレッシャーの中で、一大イベントに取り組んでいた。家族の顔なんざ思い浮かぶ暇さえなかったのだろう。