貯金はできない…“2回の離婚、3人子育て”をするシングルマザーが直面する現実

習い事や家族旅行は贅沢?子どもたちから何が奪われているのか?

低所得家庭の子どもの約3人に1人が「体験ゼロ」、人気の水泳と音楽で生じる格差、近所のお祭りにすら格差がある……いまの日本社会にはどのような「体験格差」の現実があり、解消するために何ができるのか。

発売即4刷が決まった話題書『体験格差』では、日本初の全国調査からこの社会で連鎖する「もうひとつの貧困」の実態に迫る。

*本記事は今井悠介『体験格差』から抜粋・再編集したものです。

事例:アウトドア系は行ったことがない
長谷川陽菜さん 長男(大学生)・長女(小学生)・次女(幼児)

長谷川陽菜さんは二度の離婚を経験し、3人の子どもを育てている。高校を卒業してからずっと、様々な仕事を掛け持ちしながら働き続けてきた。長男と長女は10歳以上離れている。

──一人目のお子さんが生まれたあとに一度目の離婚をされたという形でしょうか。

そうですね。そのときはほとんど寝ずに働いていました。昼も夜もずっと働いていました。夜は水商売をして、お昼もパートで働いて。ダブルで働いてました。おばあちゃん(陽菜さんの母親)と長男と3人暮らしで、長男はおばあちゃんにずっと見てもらってという感じで。子どもを早くに産んで、まだ若かったので、そういう働き方もできたんですけどね。今はもう夜の仕事は一切してなくて、昼だけなので。

その頃は、長男と一緒にいる時間がほぼなかったので、それはちょっと後悔ですね。仕事ばっかりになりすぎてたんで、オフの時間もないし。今でも悪かったなと思ってます。「お母さんはお金、お金ばっかり言うけどお金ばっかりじゃない」って中学の頃とかに言われてました。私も若かったからそこまで長男の心を読めなくて。だから、2番目と3番目の子に対しては、夜は家にいるようにしています。一緒に寝れる時間はつくろうと思って。

──今は3人のお子さんと陽菜さんのお母さんとの5人暮らしですか。

そうです。私の母親ももういい歳だし、3番目もまだ小さいし、子どもを一日丸々預けて仕事をするというのは、もうできないですね。でも、私が仕事に行かないと困るじゃないですか。だから、日曜日は元の夫(二人目の元夫)に下の子どもたち二人を見てもらって仕事に行くことも時々あります。

今後もし私の母親がいなくなったときとか考えたら、自分が子どもたちをずっと見ながらだと仕事ができなくなるじゃないですか。だから、そう考えたら、元の夫とも関係を良くしておかなきゃ困るかなという感じです。子どもからしたらやっぱり父親だし、彼も子どもに対しては普通なので。

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