誰かの幸せが許せない…多くの会社にいる「羨望や嫉妬に突き動かされている人」の陰湿な実態

根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち6刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

h2>合理的思考ではなく感情に突き動かされている

自己保身のためなら何をしてもいいという思考回路は、自分の損得しか考えておらず、きわめて自己中心的だ。しかし、裏返せば「そんなことをすると、長い目で見ればあなたにとって損になりますよ」と説得したり、なるべく喪失不安を刺激しないように気をつけたりすれば、一連のふるまいを改めさせることができる可能性があるともいえる。

損得勘定が判断基準になっている利己的な人の根本にあるのは、「何が自分にとって得になるか」という現実原則なので、ある意味では合理的思考にもとづいている。だから、合理的な利己心に働きかければ、少なくとも実害を減らすことはできるはずだ。

ところが、職場を腐らせる人のなかには、必ずしも合理的思考にもとづいているわけではないタイプがいる。その典型が羨望や嫉妬に突き動かされている人である。

何にでもケチをつける人や事実無根の噂を平気で流す人、あるいは陰で足を引っ張る人の根底にはしばしば羨望が潜んでおり、ときには嫉妬もからんでいる。羨望は他人の幸福が我慢できない怒りであり、嫉妬は自分の幸福を奪われるのではないかという喪失不安だが、いずれも非常に陰湿な感情である。

このような陰湿な感情を自分が抱いているのは恥ずべきことであり、誰だって認めたくないだろう。だから、自身の感情からどうしても目をそむけがちである。厄介なことに、こうした感情は往々にして合理的思考を妨げるので、たとえ自分には何の得もなくても、ときには損する恐れがあっても、他人の幸福をぶち壊そうとする。

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