わたしたちはいつまで金銭や時間など限りある「価値」を奪い合うのか。ベストセラー『世界は経営でできている』では、気鋭の経営学者が人生にころがる「経営の失敗」をユーモラスに語ります。
※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。
貧乏は誰にでも忍び寄ってくる。
表面的には富裕層に見える人にも貧乏の影は迫る。
たとえば落ち着いた雰囲気の喫茶店で見かける、高級時計とオーダーメイドスーツで身を固め、ついでに髪の毛はジェルで固めた「デキる」ビジネスマン風の肉食系お洒落ゴリラ型の人にも、である。
上品な喫茶店に寄ってみると、こうした人が相手を捕食する勢いで熱心に営業している姿を時々見かけるだろう(本当のゴリラは草食動物なので不思議である)。
なお私は親切な肉食系お洒落ゴリラ先輩からオーダーメイドスーツを買うよう説得されたことがあったが、いかんせんスーツが絶望的に似合わない。首が詰まってシルバニアファミリー風になる。そこでついたあだ名が「スーパーラット」であった。
動物実験で突然変異的に生まれた天才ラットという意味だという。本物のラットの方が余計なことを喋らず可愛らしい分まだ救いがある。