2024.07.10
# 環境 # 分子

炭素の次に、問題になるに違いない「窒素」過多…開発者が「日本はすでに持っています」と胸を張る「仰天発明」

なぜできたの? どうやって働くの? 思わず頭をかしげてしまうようなびっくり発明、おもしろ発明を、本サイト人気連載「さがせ、おもしろ研究! ブルーバックス探検隊が行くをベースとした「あっぱれ! 日本の新発明 世界を変えるイノベーションから、ご紹介します。

前回ご紹介した顔料「プルシアンブルー」や、その類似体を利用したアンモニア吸着の発明。今回は、それらの吸着のカギとなる、分子構造上の「穴」について詳しく見ていきます。じつは、今回の開発、すでに一部で利用が始まってるそうです。

*本記事は、『「あっぱれ! 日本の新発明 世界を変えるイノベーション』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

「穴」の大きさがカギ

アンモニアを除去するだけでなく、回収して再利用できるなら一石二鳥である。川本さんのダメ出しにもめげずに研究を進めた高橋さんは、プルシアンブルーの構造をナノメートル(10億分の1m)のオーダーで観察した。すると、05nmぐらいの幅の穴が開いているのが見つかった。

アンモニアの分子の大きさは0.26nmなので、この穴に入ることができる。つまり、アンモニアを吸着できるのだ(図「プルシアンブルーの空隙サイト」)。

【図】プルシアンブルーの空隙サイトプルシアンブルーの空隙サイト。空隙サイトの大きさは0.5nm、アンモニア分子の大きさは0.26nmだから、アンモニアを吸着できる

「吸着材といえば、一般的には活性炭が有名ですよね。活性炭が優れているのは、いろいろな大きさの穴が開いている点です。小さい穴から大きい穴まであるので、多様な分子を吸着できる。一方、プルシアンブルーは穴の大きさが均一なので、吸着できるもののサイズも限られています」

「だから、いろいろな物質を吸着したいなら活性炭が有効ですが、狙いをアンモニアに絞って選択的に吸着したいなら、プルシアンブルーのほうが有効です。活性炭はアンモニアの吸着力があまり高くないんです」(高橋さん)

また、活性炭はヤシの実や木片など天然の原料からつくるので、いつも同じものができるとはかぎらない。穴の開きかたが違えば、何をどれぐらい吸着するかも変わってくる。それに対してプルシアンブルーは人工的な合成物なので、再現性が高い。しかも、分子構造に手を加えることで、吸着力を上げることもできる。じつはその方法を見つけたことが、この研究における大きなブレイクスルーだった。

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