2024.07.11
# 分子 # 環境

どうも、クサイと思った…じつは、アンモニアの「環境汚染がヤバいレベル」という衝撃の事実と、なんとも捨て難い「魅力的な資源力」

あの人気シリーズが本になった!

なぜできたの? どうやって働くの? と、思わず頭をかしげてしまうようなびっくり発明の数々をご紹介してきた、本サイト人気連載「さがせ、おもしろ研究! ブルーバックス探検隊が行く」。

なんと、1世紀半近くにもわたって日本の産業支えてきた「産業技術総合研究所」の全面協力のもと、刊行された「あっぱれ! 日本の新発明 世界を変えるイノベーションから、おもしろ発明をご紹介しましょう。

今回は、世界で急激に排出量が増加している「窒素酸化物」の裏で、その化合物である「アンモニア」が起こしている問題について見てみます。

じつは、アンモニアは需要が高まっており生産量も増大している一方、環境汚染を引き起こす原因として問題視されています。いくらでも欲しい一方、環境中にあふれかえっている、という複雑怪奇な問題がどうして起こるのか、その対策はないのか、現在の状況をレポートします。

*本記事は、『「あっぱれ! 日本の新発明 世界を変えるイノベーション』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

増えすぎている窒素…マイクロプラに続く、環境汚染問題

1999年に創設された「化石賞」という賞がある。「賞」なのだから何かの栄誉なのかと思いきや、違った。気候変動問題に取り組む世界130ヵ国のNGOネットワーク「CANインターナショナル」が、問題への取り組みが“ぜんぜんダメ”な国に与える賞であった。なんと、わが国はその「化石賞」受賞の常連なのだ。なぜだろう、いろいろ頑張っているはずなのに……。

そんなわれわれのモヤモヤをよそに、ここ最近、気候変動と、海洋生態系に悪影響を及ぼすマイクロプラスチック問題に続く、第3の環境汚染問題として「窒素問題」が浮上しているという。

窒素?

窒素といえば、元素記号はN。空気中に78%も含まれ、いかにも人畜無害というイメージがある。それどころか、生命にとってはタンパク質やDNAなどの有機物を構成する、必須元素でもある。

だが、その化合物となると話が別で、その量も増えすぎたのだという。いわゆる空気の窒素、N2は安定した無害の気体だが、Nのついた、亜硝酸イオン(NO₂⁻)、一酸化窒素(NO)をはじめとする「窒素化合物」の多くは、地球環境にとって有害物質となる。窒素酸化物(NOx)は光化学オキシダントや酸性雨の原因物質であることが知られている。

一酸化二窒素(N₂O)の温室効果は二酸化炭素(CO₂)の約300倍にものぼり、オゾン層も破壊をする。空気中のアンモニア(NH₃)はPM2.5の原因になるし、水中の窒素化合物は富栄養化(赤潮や有毒なアオコの発生につながる)や硝酸汚染などを引き起こす、非常にやっかいな存在だ。

空気中のアンモニア(NH₃)はPM2.5の原因になるなど、窒素化合物による環境汚染の問題は非常に厄介だ空気中のアンモニア(NH₃)はPM2.5の原因になるなど、窒素化合物による環境汚染の問題は非常に厄介だ photo by gettyimages

なかでもアンモニアは、ツンと鼻につく、あのトイレの不快なにおいなど、いわゆる臭いものの代名詞だ。

しかし、作物を育てる肥料に不可欠な原料でもあり、産業革命以降の人口急増を支えた立役者であった。

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