「いいね」や「フォロワー数」が気になる...「周りの目」を気にせず、現代人が自分の人生を歩む方法

いままで、「大切な人と深くつながるために」「いじめられている君へ」「親の期待に応えなくていい」など、10代に向けて多くのメッセージを発信してきた作家の鴻上尚史さんが「今の10代に贈る生きるヒント」を6月12日に刊行した。その書籍のタイトルは『君はどう生きるか』。昨年ジブリの映画でも話題になった90年近く前のベストセラーをもじったこのタイトル。なぜ「君たち」でなくて「君」なのか。そこには鴻上尚史の考える時代の大きな変化があった。

『君はどう生きるか』(鴻上尚史著)より抜粋して、著者がいまを生きる10代に贈るメッセージを一部紹介する。

『君はどう生きるか』連載第24回

『スマホの普及とともに蔓延した、知らぬ間に若者を蝕む「7つの災厄」』より続く

スマホが肥大化させる自意識

「自意識」とは、自分が周りにどう思われているか、自分が周りにどう受け入れられているかを考えてしまう意識のことだ。

別の言い方だと「自分で自分のことを考えてしまう意識」のことだね。

「自意識」がやっかいなのは、考えないようにしようと思えば思うほど、「自意識」は大きく、強くなってしまうことなんだ。

周りを気にしないようにしよう、クラスメイトの言葉なんか無視しよう、リラックスしようと思えば思うほど、自意識はぐんぐんと大きくなってしまう。

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君も知っているように、SNSは「いいね」やフォロワーの数によって、「君がどれぐらい受け入れられているか」を一瞬一瞬、教えてくれるようになった。これは、人類の歴史の中で初めてのことだ。

それまでは、自意識が大きくなるのは、周りのヒソヒソ話とか噂話ぐらいしかなかった。なのに、リアルタイムで君の評判を教えてくれるスマホによって、「自意識」は、放っておくと、どんどん大きくなっていく。