「中国にはリスクがある」…それにもかかわらず日本を放置して中国市場だけ開拓する「日本の大企業」のヤバすぎる実態

今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。

『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。

『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第27回

『「冷酷なハゲタカ」と恐れられ、日本の資産を買い漁った外資系金融機関の元社員が明かす、「失われた30年」の意外な「ターニングポイント」』より続く

マレーシアYTLグループによる買収

シティグループの買収から3年足らずの2010年3月、マレーシアのYTLコーポレーションが、ニセコビレッジを総額60億円で買収すると発表した。

YTLグループは、母国マレーシアで「ザ・リッツ・カールトン・クアラルンプール」や「JWマリオット・クアラルンプール」など、またイギリスやオーストラリアなど世界8ヵ国で高級ラグジュアリーホテルを運営している。

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こうして、西武グループがニセコ東山スキー場を手放し、ニセコビレッジと名前を変えてから10年以上が過ぎた。2005年に老朽化のため停止されたままのニセコ東山ゴンドラと、今は倉庫や建設作業などの詰め所になっている建物のみが、西武の面影を残している。