2024.06.11
# 資本主義 # 戦争 # 南北戦争

「金をはずむ方に武器弾薬を売る!」戦争成金になった武器商人の哲学

死の商人と資本主義

戦争をするには武器が必要だ。それを調達するのは、昔から「死の商人」と言われる武器商人だった。彼らは戦争の危機を煽り、国防の必要を訴えるとともに、「愛国者」として政治家に取り入った。鉄砲から核兵器まで売り捌き、巨万の富を得てきた戦争成金の哲学とは? ここでは、『死の商人』(岡倉古志郎著、講談社学術文庫)から引用する。

『風とともに去りぬ』の武器商人

右手に陣取るは外国製の大砲
左手に陣取るは外国製の大砲
前方の敵陣からこちらを向くのも外国製の大砲
いっせいに火ぶた切り、天地とどろく
    ――クリミヤ戦争をうたった詩から

あなたは、たぶん、マーガレット・ミッチェル女史の名作『風とともに去りぬ』を読んだことがあるだろう。あるいは、豪華版の天然色映画「風とともに去りぬ」を観たことがあるだろう。

そのあなたにとっては、一八六四年九月、南軍の要衝ジョージア州アトランタ市が陥落するあのクライマックスの情景は、よもや忘れられまい。砲煙弾雨と火焰に包まれたアトランタの地獄絵図のなかで燃えあがったスカーレットとレットとの灼熱の恋のいきさつは、「風とともに去りぬ」全巻のなかでの白眉である。

風と共に去りぬ ポスター

だが、あなたは、このどぎついクライマックスの印象にうたれるあまり、その何ページか前にある、ひじょうに興味深いくだりを、忘れてしまっておられるかもしれない。しかし、いま、われわれが思い出さねばならないのは、このクライマックスを盛りあげて行く過程に置かれた一つのエピソードなのである。そのエピソードというのはこうだ――

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