「よくわからないけど効く」という認識は既に過去…! 「ツボ・鍼灸・漢方薬」のメカニズム解明が今、進んでいる「ワケ」
私たちにとって身近なツボや鍼灸、漢方薬。近年、そのメカニズムの詳細が西洋医学的な研究でも明らかになってきています。例えば<手のツボが便秘改善に効くとされるのはなぜ><ツボに特徴的な神経構造が発見された?><漢方薬が腸内細菌の「エサ」になっている?>など、興味深い研究が数多く報告されているのです。最新の研究では一体どんなことが明らかになっているのでしょうか。
そんな東洋医学のメカニズム研究の最前線をとりあげた一冊、『東洋医学はなぜ効くのか』(講談社ブルーバックス)から「はじめに」を特別公開します。あなたも、まだ知らない「東洋医学」の世界を体感してみませんか。
*本記事は、『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
多くの人が知らない…東洋医学の「メカニズム」
皆さんは肩や腰に痛みが生じた時、まっさきに何をしますか。おそらく多くの人が痛みを感じる場所を揉んでみたり、あるいは家族にマッサージをしてもらったりするのではないでしょうか。そして整形外科を受診し、湿布を貼ったり鎮痛薬を飲んだりすることもあるでしょう。しかし、それでも痛みが気になるということもあるかもしれません。そんな時、鍼や灸による治療を選ばれる人もいるのではないでしょうか。実際、筆者(大野)もなかなか良くならない四十肩の痛みが鍼治療でスッと消えたことがあります。さらに鍼灸はケガ予防やコンディショニングにもつながるため、多くの一流アスリートにも取り入れられ、話題になることもあります。
では体の倦怠感や冷え症などでお悩みの方はどうでしょうか。この場合、漢方薬を愛用されている方が多くいらっしゃるかもしれません。こちらも有名な俳優やモデルが服用していることを公言したり、テレビ番組でもよく話題にのぼったりしますよね。筆者(大野)自身も、「治療薬がないと言われ、長年悩まされた体の不調が漢方薬を飲み始めたら知らないうちに良くなった」という声を耳にしたこともあります。また、多くの人が「風邪のひきはじめには葛根湯」といったことばや「良薬は口に苦し」といったことわざを聞いたことがあるのではないでしょうか。つまり、漢方薬は日本人に馴染みのある治療法と言えるのかもしれません。