2023.12.30

「10歳」若返る「すごい歩き方」は、「がん」の発症予防になるか

『ウォーキングの科学』
放っておくと筋肉は年齢と共に衰え、そのことが原因で免疫力が下がったり、生活習慣病を引き起こしたり、心の健康や、脳の認知機能にまで影響を及ぼすと言われています。とはいえ、筋肉を衰えさせてはいけないとわかってはいても、運動をコンスタントに取り入れるのはなかなか難しい……。

そこでウォーキングの提案です。ウォーキングなら家の周りを歩いてもいいし、どこかに行くついでに1駅分歩くこともできるし、すぐにでも始められます。ただ、なんとなく歩くだけでは体力アップはむずかしいことも事実です。著者は科学的に「どれくらいの速度で」「どれくらいの頻度で」「どれくらいの時間行えば」「どんな効果が得られるのか」を徹底的に研究し明確にしました。その根拠となるのは、10年余りで7000人以上のデータを取った結果と分析。それがわかりやすく示されているので、なぜどのように体にいいのか、納得できます。そのようにして確立した、効果的で継続しやすい方法「インターバル速歩」を紹介。ややきついと感じる早歩きと、ゆっくり歩きを一定間隔で繰り返すだけのシンプルな方法です。

*本記事は『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
PHOTO by iStock

がんの発症予防になるか

インターバル速歩のがん発症リスクに対する影響はいまだ不明だが、一般に本人が「ややきつい」と感じる運動ががん予防に効果的であることは、ずいぶん前から報告されている。

このメカニズムの詳細はわかっていないが、たとえば、乳がんは女性ホルモンの感受性があり、同ホルモンの増加によって症状が増悪することが知られている。これに対し、「ややきつい」運動によって、女性ホルモンの卵巣からの分泌が抑制されることが知られている。また、閉経後は脂肪組織からも女性ホルモン様物質が分泌されるが、運動によって肥満が改善するので、それによってもがんの症状が改善することが期待できる。

また、大腸がんも運動によって発症が抑制されることが明らかになっているが、運動による食事習慣や便通の改善が関与している可能性もある。

その他、疫学的に糖尿病・肥満を患っている人では、がんの種類を問わず発症リスクが高くなることが明らかになっている。

これについては、先に図1―7で述べた糖尿病、高血圧症などの発症原因である「慢性炎症」が原因である可能性がある。すなわち、慢性炎症によって全身性に炎症性サイトカインの濃度が上昇すれば、がんの発症リスクが高くなることが指摘されている。

私たちの研究でも、インターバル速歩を5ヵ月間実施すると、パスウェイ解析による網羅的ゲノムワイド解析という方法により、炎症促進遺伝子が不活性化され逆に炎症抑制遺伝子が活性化されることが明らかになった一方、同時にがんを引き起こす遺伝子が不活性化することも明らかになっている。さらに私たちは、インターバル速歩の後に乳製品を摂取することでこれらの反応が促進することも確認している。

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