ロシアの攻撃に見舞われているウクライナ。爆弾やミサイル、ドローンによる住宅火災での人的被害を軽減するため、北九州市の産官学で開発した石けん泡消火剤、3000リットルを人道支援として贈ることが実現した。
その仲介の労をとってくれたのが、在ウクライナ日本大使館だった。8月17日の発送式を前にしたオンライン会議で、キーウの松田邦紀大使には、ウクライナの「戦後」と日本の役割についての意見も聞くことができたので、ここにその模様をお伝えしよう。
ウクライナ紛争の最前線にて
山根 石けん泡消火剤のウクライナ非常事態庁への寄贈が実現し喜んでいます。
松田 シャボン玉石けんを初めとする皆様には、心から感謝しています。非常事態庁も本当に喜んでおりまして、長官からもぜひ感謝の言葉を伝えてほしいと申しつかっております。
去年の例に倣いますと、10月からウクライナは寒くなりますので、ロシアからエネルギー施設に対する攻撃が始まるのではと心配しています。空襲による火災では、水不足もあり消防のチームの対応は厳しいものとなりますが、石けん泡消火剤は少ない水でも対応できるということで心強い思いです。
山根 日本の企業や自治体ではウクライナへの支援はどんなことがありますか?
松田 オデッサ市と横浜市は姉妹都市であるため、横浜市役所が音頭を取り横浜市の企業が製造している移動式浄水装置33台を昨年以来ご提供いただいています(参考1)。
また、アパートやマンションの業界団体が資金を集め、ウクライナで住宅を破壊された方たちのために簡易住宅を提供していただいてもいます(参考2)。
山根 松田大使のご出身の福井県では?
松田 小浜市の地元企業さんの協力で、ウクライナ人のお好みに合う味付けのサバの缶詰2400缶を届けていただきました(参考3)。
山根 小浜市のサバ缶は国際宇宙ステーションにも届けられていますが、ウクライナにも!
松田 私の友人が南あわじ市長(淡路島)をつとめているんですが、幼稚園の園児さんたちが先生方と作ったものを市民の皆様に買っていただき、その売上げ金を送っていただいたという例もあります(参考4)。
参考:各種支援に関する情報
松田 私は大使としてのみならず、一日本人として、ウクライナが侵略戦争で困っているときに、日本の方々が気持ちを寄せていただき支援物資や支援金を送っていただいているのは本当にありがたいことだと感銘しています。日本全国津々浦々の皆さんのご支援を、大統領や大統領夫人にもお伝えするつもりです。