知識とは次から次へとつながるもの。『齋藤孝の大人の教養図鑑』では、齋藤孝先生の連想によって、一つの知識から次の知識へと、どんどんつながっていきます。そのつながりには、オーソドックスなものもありますが、時にはとんでもないジャンプがあることもあります。ここでは、その一部、「フロイト」→「ユング」→「錬金術」→「ニュートン」→「ゲーテ」→「モネ」の大ジャンプをご紹介します。
*本記事は、『齋藤孝の大人の教養図鑑』から、内容を再構成してお届けします。
フロイトの精神分析とは?
言わずと知れた、精神分析の創始者は、オーストリアの精神科医、ジークムント・フロイト(1856-1939)だ。フロイトは、神経症を理解、治療する方法として精神分析を行った。
フロイトは元々神経学者だったが、神経症の治療に関心を抱くようになり、神経症患者の治療法を模索するなかで、神経症は抑圧された無意識な性的欲望によって引き起こされるとし、無意識という深層心理の存在を確信し、それを観察・解明する方法として精神分析を編み出した。
我々が見る夢は無意識の願望が姿を変えて表現されたものだとする『夢判断』や、性欲の形成やエディプス・コンプレックスを説いた『性理論のための三篇』などを発表して精神分析理論を整えていき、心理学や社会科学、20世紀の思想にまで影響を及ぼした。
性的衝動を生み出すエネルギー「リビドー」とは何か?
本来はラテン語で欲望や欲情を意味する語だが、フロイトの精神分析では、主に性的衝動を生み出すエネルギーをさす。
フロイトによれば、リビドーは幼少期から存在する。人間活動を強く支配し、リビドーが適切に満たされない場合に、神経症的な症状が引き起こされるとしている。フロイト以降、この用語は多くの研究者によって使用されてきたが、その意味は一定ではない。
フロイトの場合、リビドーは性的本能の側面が強いが、フロイトと親交が深かったが決別して分析心理学を創始したユングは、リビドーをあらゆる衝動の源となる心的エネルギーとしていた。
精神分析は、人間の心理や行動を理解するうえでの大発明だった。フロイト学説の熱心な信者と言えば、スイスの心理学者、カール・グスタフ・ユング(1875-1961)がいる。しかし、ユングはやがて意見の対立からフロイトと袂を分かち、分析心理学を創始しました。いまでは日常的に使われている「コンプレックス」という概念を提唱したのもユングだ。