ITジャイアントに対する規制論議
世界各国でいま、スマートフォン向けプラットフォームを運営する大手企業、いわゆるITジャイアントに対し、公正競争などに関する規制議論が巻き起こっている。
日本でも、内閣官房デジタル市場競争本部が音頭をとるかたちで、「モバイル・エコシステムに関する競争評価」が進んでおり、4月には中間報告も公開された。
そして、その中間報告で提案された"ある項目"が議論をよんでいる。それは「アプリのサイドローディングを法で義務づける」ことが妥当かどうか、という点だ。
そのような論点がなぜ提示されているのか、そして、それがどんな問題を引き起こす可能性があるのか──。今回は、すべてのスマホユーザーに関わる重要テーマについて掘り下げて考えてみたい。
「サイドローディング」とはなにか
そもそも「サイドローディング」とはなにか。
スマートフォン向けのアプリは現状、「アプリストア」からインストールするのが基本となっている。iPhoneユーザーならApp Store、AndroidユーザーならGoogle Playを使っている人が多いだろう。
サイドローディングとは、簡単にいえば、これらのアプリストアを「介さずに」アプリをインストールする方法のことだ。iPhoneならApp Storeを、AndroidならGoogle Playを経由せずに、アプリをダウンロードしてインストールすることを指す。
冒頭でも述べたどおり、サイドローディングに関する議論は、内閣官房デジタル市場競争本部による「モバイル・エコシステムに関する競争評価」の中間報告書の中で示されている。その111ページに、こう書かれているのだ。
〈一定規模以上の0Sを提供する事業者がアプリストアを提供する場合には、ユーザーが
- サードパーティのアプリストアをインストールでき、それをデフォルトとして選択できるようにする
- ブラウザを使ってアプリを直接ダウンロードできるようにする
- プリインストールされているアプリストアを非表示又はアンインストールできるようにする
義務を課す規律を導入することが考えられるのではないか〉
iPhoneを例にして補足すれば、上記1.は、App Store以外のアプリストアをインストールでき、かつ、そのアプリストアをApp Storeに優先して使用できる環境を提供することをアップルに義務付けることを意味している。
同様に3.については、App StoreをiPhone上から削除可能とするか、あるいは表示させない選択肢を用意することを求めるものだ。
このような提言の真意はどこにあるのか。