ソニーグループを支える屋台骨
ソニーグループの屋台骨を支える現在の柱の1つは、「半導体事業」だ。
ソニーの半導体といえば、「カメラ用のイメージセンサー」が思い浮かぶ。実際、高級スマホ向けでは高いシェアを占めており、半導体事業の大半がスマホ向けからの収入となっている。
ただし、現在のセンサーは「カメラに使う」だけにとどまらない。より広い用途があり、より広い形態がある。
ソニーグループの半導体部門であるソニーセミコンダクタソリューションズは、同社の開発拠点の1つである厚木テクノロジーセンターで記者向けの説明会を開き、筆者も取材に参加した。
そこでは、同社が扱っている「センサー」について、具体的な機能がデモとともに語られた。現在のセンサー、特に映像に関わるものがどんな世界を実現しつつあるのか、デモの中からいくつかをピックアップしながら見ていこう。
主力の「イメージセンサー」をどう使うか
基本的なところから入ろう。
ソニーが製造している半導体は、おもに「イメージセンサー」とよばれるものだ。要するに、カメラなどで映像をデータとして扱うための部品をつくっているわけだ。
しかし、「センサーがとらえた像」がデータとして使えるということは、たんに映像を記録するだけでなく、他の要素をさまざまに解析し、その情報を活用できるということでもある。
わかりやすいのは次の例だ。
写真の中央にあるのは、ソニーが開発し、店舗などに向けて「サービス」として提供している「AITRIOS(アイトリオス)」というシステムのデモだ。
このシステムは、簡単にいえば、店内に多数のカメラを配置し、セキュリティー上の監視以外のしくみに利用しようというものだ。個々のカメラは小さいが、それを複数用いてシステムを構築する。
「必要な情報」とはなにか
「AITRIOS」は具体的にどう使われるのか。
次の画像は、「店内にどのような色の服を着た人が、どこにいるか」を表したものだ。実際の取材現場でも、この人数の人が、この配置で立っていた。ちなみに筆者は「#80」だ。
「人がどこにいるか、詳細な位置まで監視されているなんて怖い」
そう思う人もいるかもしれない。だが、実情は少し違うのだ。
このセンサーでは、確かに映像はとらえているが「映像を記録してはいない」。たとえばこの写真の場合なら、「人が何人いて、それぞれどこにいたか」という値だけが記録されていて、筆者を含め、実際にその場にいた人物の個々の姿は映像としては残されていないのだ。
それではなぜ、あえてこのようなしくみを採っているのだろうか?