患者と医師、それぞれの証言
Apple Watchに搭載されている「心電図」アプリが日本でも使えるようになってから1年が経過した。
海外で先行導入された機能であるため、日本では当初、認知が低かったようだが、最近では使用する人が増えている。きわめて気軽に計測できるので、対応しているApple Watchをもっている人なら、一度は測ったことがあるのではないだろうか。
一方で、計測後に示されるデータを見ても、「異常がなかったらしいことはわかるけど、自分ではよく意味がわからない」という人がほとんどだと思うし、それが実際の医療の場でどう活かされているのかは、なおさらピンときていないという人も多いだろう。
Apple Watchのようなスマートウォッチの機能は、我々の健康維持にどう影響するのか? 健康状態の確認にどう使うべきなのか?
それらの点について、実際に「Apple Watchに命を救われた人」と、サポートする医師の言葉から学んでみよう。
Apple Watchからの「通知」
平江厳さんは、1990年から96年まで、当時の近鉄バファローズに所属した元プロ野球選手で、現在は会社勤めをしている。プロのスポーツ選手だったことを彷彿させる体格のよさで、2021年2月まで、自身の健康状態に深刻な問題があるとはまったく気づいていなかった。
平江厳さん。Apple Watchは「ファッションのつもり」でつけていたが、結果的にそこから不整脈の状況を知ることができた
「以前の健康診断で、『不整脈の可能性』を指摘されたことはありました。でも、『そのままようすを見ましょう』という判断だったんです。検査の結果についても、『装置の誤差の範囲かもしれません』ということだったので、特になにもしませんでした」
そう語る平江さんが認識を改めるきっかけになったのが、Apple Watchからの通知だった。