"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1861年の12月25日、「日本近代登山の父」と呼ばれるイギリスの登山家・ウォルター・ウェストン(Walter Weston, 1861-1940)が誕生しました。
イングランドのダービーで生まれたウェストンは幼い頃から兄とスイス・アルプスのマッターホルンに登るなど登山を好んでいました。
成績も優秀であり、名門・ケンブリッジ大学を卒業したウェストンですが学術の道には進まず、イギリス聖公会宣教師としてキリスト教を伝える道を選びました。彼が日本との関わりを持ったのも宣教師としての活動がきっかけでした。
1888年に来日したウェストンは日本で神戸の聖アンドルーズ教会所属の宣教師としてキリスト教の布教活動を行いながら、趣味で日本の山々へと登るようになります。
はじめ九州の山に挑戦していたウェストンですが、だんだんと彼の興味は日本全土の山々へと移っていき、日本アルプスや日本最高峰である富士山など多くの山へと果敢に挑みました。
特に、1893年に行われた彼と案内役の上条嘉門次(かみじょう・かもんじ)による前穂高岳の登坂は日本における近代登山の幕開けとされています。
彼はこれらの経験を著書『日本アルプスの登山と探検』に著し、世界に「日本アルプス」の名前を知らしめました。余談ですが、「日本アルプス」という名称自体はイギリスの冶金学者ウィリアム・ゴーランドによる命名とされています。
その後もウェストンは随筆家でもあった登山家の小島烏水(こじま・うすい)に日本山岳会の発足を促すなど日本の登山界の発展に寄与、自らも同会の名誉会員となりました。
現在でも長野県・上高地には彼の銅像が建てられているほか、同地で毎年6月の第一日曜日に行われる「ウェストン祭」は日本アルプスの山開きの行事であり、登山者に夏の訪れを告げる役割を果たしています。
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