6Lの枡でぴったり1Lを量る方法は? 伝統的な「和」の雑学数学お教えします
覚えて帰ろう〈雑学数学〉今回の雑学数学では、江戸時代に発展した「和算」に登場する“油分け算”というパズルと、日本古来の容器「枡」を使って様々な量をぴったりはかる方法についてご紹介します。
たとえば、容量が6Lの枡で1L、2L、3L、…、6Lをはかるにはどうすればよいでしょうか?
ぜひ、頭を柔らかくして考えてみてください。
江戸時代の数学パズル「油分け算」
「油分け算」という言葉を聞いたことありますか? 日本の数学「和算」でも取り上げられている数学パズルの一種で、複数の容器で決められた量の油をはかる、といったものです。
有名なものに次のような問題があります。
3L入る容器と5L入る容器で4Lをはかる方法は?
想定される解法は以下の通り。
まず5Lの容器に水を入れ、そこから3Lの容器が満タンになるように注ぎます。すると、5Lの容器には2Lの水が残ります。3Lの容器に入っている水をすべて捨て、5Lの容器に入っている2Lの水を3Lの容器に入れなおします。ふたたび5Lの容器に水を入れ、3Lの容器が満タンになるように移し替えると、3Lの容器には1Lだけが注がれることになります。つまり、5Lの容器には4Lの水が残ります。
ほかにも10L、7L、3Lの3つの容器だけを使って5Lをはかる問題や、8L、5L、3Lの容器を使って4Lをはかる問題など、数値や容器の数が異なる問題は数多く存在します。
この容器以外の場合の問題を自作したという人もいるかもしれません。筆者も子供のころ色々な条件の問題を作った記憶があります。
そしてそのとき、ひとつの疑問が浮かびました。
「どんな容器を用意しても、任意の量を作ることができるのだろうか」
たとえば「4Lと2Lの容器から1Lをはかることはできない」ということや「8Lと12Lの容器から3Lをはかることはできない」ということは子供ながらに気が付いていました。
しかし当時は厳密な証明方法をわかっていたわけでもなく(そもそも数学の用語で「証明」という言葉があることですら知らないころの話)、「4Lと2Lの容器から1Lをはかる」ことと、それらの量を半分ずつにした「2Lと1Lの容器から0.5Lをはかる」ことが同じことであると理解し、整数の足し算と引き算から小数を作ることができないからきっとできないのだろう、と捉えていました。
このことを利用すると、上で挙げた疑問は
「ある容器同士(お互いが1以外の共通の約数を持つ容器同士)では、作ることができない量が存在する。では、任意の量を作ることができる条件はなにか」
となります。
この疑問を解決するために、油分け算と関係が非常に深い、不定方程式という分野に踏み込んでいきます。