『新世紀エヴァンゲリオン』TV版から25年、ついに最終作の『シン・エヴァンゲリオン劇場版: ||』が公開されました! エヴァと言えば、物議を醸しだす凄惨な心理描写と共に、難解な科学用語がサラッと登場することでも有名です。この記事では『シン・エヴァ』をより深く楽しむため知っておくとよい科学知識を、過去のエヴァ作品を復習しながら徹底解説します。なお、『シン・エヴァ』の直接的なネタバレはありませんのでご安心ください。
使徒「ラミエル」を倒した「ヤシマ作戦」
『エヴァンゲリオンTV版』の第5話と第6話に登場した第5使徒「ラミエル」。そして打倒「ラミエル」を掲げて立案された「ヤシマ作戦」はエヴァンゲリオンの中でも屈指の人気を誇るエピソードです。
『TV版』の約10年後に公開された『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)のクライマックスでは第6の使徒として「ラミエル」が再登場し、約20年後に公開された同監督による『シン・ゴジラ』のクライマックスでも「ヤシマ作戦」と共通点の多い「ヤシオリ作戦」が登場するなど、今でも根強い人気を誇っています。少し方向性は違いますが、『シン・エヴァ』冒頭の「0706作戦」や、ラストの「ヤマト作戦」もそうだったのかもしれませんね。
「ラミエル」は正八面体状の巨大な青い宝石としか言いようのないシンプルなデザインをしています。使徒を殲滅する唯一の方法はコアと呼ばれる小さな赤い球を破壊することとされています。ところが、「ラミエル」のコアはその正八面体状の装甲の中心部に厳重に包み隠されていたのでした。まさに絶対防御、これでは太刀打ちできません。
しかし、「ラミエル」が攻撃態勢に入る瞬間だけ正八面体状の装甲が開き、コアが露になります。そして、コアから超強力なビーム兵器が解き放たれたかと思うと、即座に正八面体状の装甲を閉じてしまいます。まさに攻守完璧、NERV本部に「白旗でも上げますか」と言わせるだけあります。
この「ラミエル」の特性を分析し、NERV本部により立案された作戦、それが「ヤシマ作戦」です。
その戦略は、綾波レイが搭乗するエヴァ零号機の盾で「ラミエル」のビーム兵器を防ぎつつ、その間に碇シンジの搭乗するエヴァ初号機が「ラミエル」のコアを狙い撃ちにするという、いたってシンプルなものです。
とはいっても、生半可な兵器では「ラミエル」の鉄壁のATフィールドを突き破ってコアを破壊することはできません。そこで白羽の矢が立った究極兵器、それが「ポジトロンライフル」こと「陽電子砲」です。NERVのエヴァ専用「ポジトロンライフル」は開発中だったため、戦自研の「自走陽電子砲」を急遽改造して対応しました。
……さて、陽電子とは、ポジトロンとはいったい何でしょうか?