「すごい!」と感じることのできるパズルを紹介していただきました。
ヘンリー・アーネスト・デュードニー(1857-1930)という、パズル作家兼数学者をご存知でしょうか。20世紀初期、日本で「パズル」という言葉が広がりはじめたのとほぼ同時期に、彼の著作が日本で紹介されました。「数学パズル」という言葉が日本で使われだすきっかけを作った一人といってもよいかもしれません。
今回は筆者も感動した、彼の数学パズルを取り上げつつ、そこに潜む数学の雑学をご紹介します。
世界初の「覆面算」
デュードニーが作った数学パズルは様々な分野にわたりますが、彼の名前は知らなくとも一度は見たことある問題をまずは紹介しましょう。それはこちら。
「SEND + MORE = MONEY」
いわゆる覆面算とよばれるものです。同じアルファベットには同じ数字が入ることになっており、また、数字はそれぞれ0から9のどれかが1つ、というルールです。
このような覆面算(あるいは虫食い算の一種ともとらえられます)の明確な起源は明らかになっていないのですが、意味のある単語を活用して覆面算を作ったのはデュードニーが初めてと言われています。
「SEND+MORE=MONEY」は「もっとお金を送って」という意味になっていますね。
デュードニーの三角形
彼の発想の凄さは他にもあります。筆者が特に感動したのは、ずばり彼の名前がついた「デュードニーの三角形(別名デュードニーのパズル)」と呼ばれるものです。そのパズルとはこちら。
正方形から正三角形に変わっていく様子がわかりますか。正三角形を半分に切ってそれを並べ替えれば長方形ができる、というのはすぐイメージが湧くと思いますが、正方形から正三角形になる、というのは驚きです。
逆に、正三角形の状態の切り込みを見ても、ここから正方形になることは想像しにくいでしょう。
この数学パズルのさらなる魅力は、変形していくときにそれぞれのピースの頂点が1つずつ、くっついたまま変形できることです。言い換えれば、ピースの順番をほとんど並べ替えることなく変形できる、ということでもあります。