第2回 田中愛美さん(紀伊國屋書店 札幌本店)
『お茶の科学』
紀伊國屋書店札幌本店は、JR札幌駅西口より徒歩1分の場所にある書店です。
Sapporo55ビル内の1階が一般書籍、2階が専門書売り場となっていて、蔵書は100万冊以上。幅広い世代の方にご来店いただいております。
ブルーバックスは、おもに1階新書棚に取り揃えており、2階自然科学のコーナーにもございます。毎年、春先から初夏の頃まで、ブルーバックスのオリジナルフェアを展開しております。
茶殻までおいしかった! お茶の「新発見」
紅茶派か、コーヒー派か? 私はどちらも好きですし、緑茶は日常的に飲みます。
「読めばお茶の味わい方が変わる、驚くほどおいしくなる!」という裏表紙の誘い文句と、「科学でわかった一番おいしいお茶の淹れ方」というのに興味をひかれ、『お茶の科学』を読み始めました。
「お茶の魅力」に溢れた1冊でした。
緑茶・紅茶・烏龍茶の歴史や、製造過程、おいしく淹れる方法、科学的なお茶の分析などが、読みやすくまとめられておりました。
身近な「お茶」だからこそ、難しく考えすぎることなく、読むことができます。
読み進めて、数ページで気になる言葉が。
「茶殻を食べてみてください」。
抽出後の茶葉を、あまり気にすることもなく、捨ててしまっていたので、驚きました。じつは茶殻には、半分以上の栄養素が残っているそうです。
著者おススメの「茶殻のスムージー」や「茶殻のお浸し」の作り方も載っており、最後までお茶を楽しむことができます。(インターネットで調べてみると、茶殻のレシピが他にもありました!)
お茶の未来が楽しみになる1冊
本書の中には、お茶の消費量の世界ランキングが掲載されております。
生産量の多い中国やインド、アフタヌーン・ティー発祥の地イギリス辺りの消費量が多いと思っていましたが、なんと1位がトルコ!
加えて、トルコではチャイが多く飲まれているという事で、チャイについて詳しく調べてみることに。
〈チャイ=茶葉+ミルク+砂糖〉という私の持っていたイメージはインド式チャイからきていたようで、トルコでは、砂糖をいれて飲んだり、ストレートで飲んだりするそうで、なんとなくホッとしてしまいました。
ちなみに日本の消費量は、トルコの約4分の1~3分の1で、世界で19位という順位に思っていたよりも低い、と感じました
巻末に、本書は夢のある方向で執筆した、という著者の言葉がありました。
「お茶と健康」という章があるのですが、お茶の良い効能が列挙されており、読み進めるごとに、お茶は健康に良いことばかり! と改めて思いました。
日々の研究の積み重ねによって、今のお茶があり、今後、さらにおいしく、さらに効能のあるお茶ができると思うとお茶の未来が楽しみです。
本書で学んだ知識を頭の片隅に、緑茶や紅茶の茶葉を選びたいと思います。もちろん、おいしい淹れ方を実践して、存分にお茶を味わいます。
食品科学 [B2016]
著:大森正司
読めばお茶の味わい方が変わる、驚くほどおいしくなる!
緑茶、紅茶、ウーロン茶……さまざまあるお茶は、すべて同じ「チャ」の樹の葉からできたもの。製造過程で、茶葉の中で多様な変化が起こり、そのお茶らしい色、香り、味が生まれます。
定価:本体1,000円(税別)
ISBN:978-4-06-502016-6