2024.07.03

「鼻息で訴えていますね」飼育員さんも思わず笑ってしまった、動物園のパンダがこれでもかと「圧をかける」瞬間…!

ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。

2021年に心臓疾患が見つかり、治療を続けていたタンタンですが、2024年3月31日に虹の橋を渡りました。国内最高齢の28歳でした。いつでも笑顔をくれた神戸のお嬢様・タンタンをしのび、在りし日の日常を振り返りながらお伝えします。

「どろんこですけど、何か?」提供:神戸市立王子動物園

夏のお嬢様

タンタンが暑い夏を乗り切る工夫が紹介されたのは、連載37回目(https://gendai.media/articles/-/85610)。取材日は真夏日が続く7月。パンダ館観覧開始の約5分前。そこには、トレーニングルームでのクールダウンから戻ってこないタンタンの姿がありました。迎えに来たのは飼育員の梅元良次さん。その呼びかけに答えて、ゆっくりと室内へ出て行きます。

「遅刻、遅刻〜!」

朝ごはんはニンジン2つにペレットが1つ。いつもよりペレットが少ないようですね。「朝、ちょっとあげすぎちゃって。手元に1個しか残っていなかったんです。1日にあげる量には達していないので、また後で取りに行きますよ」と、梅元さん。

「あれ? いつもよりペレット少なくない?」

そして朝一番に、ヤダケ(矢竹)をお召し上がりになったお嬢様。お次はネマガリタケ(根曲竹)をいただきます。どちらも大きな葉っぱが特徴です。このネマガリタケは、梅元さんが園内で採ってきたもの。「ヤダケをよく食べていたので、これも食べるかなと思って採ってきました」(梅元さん)。新鮮でうれしいですね、お嬢様。

この時は、葉っぱが大きいものがお好みだったようです

この日は暑く、朝7時頃にはすでに外の気温が27度くらいまで上昇していたため、外での朝ごはんは断念しました。「外と室内の温度差がありすぎると、タンタンの体に負担がかかってしまうので、外の気温が26度を超えたら、タンタンを外に出さないようにしています」と、梅元さん。いまは心臓疾患のこともあるため、体に負担がかからないように、細心の注意を払っているのだそうです。

寝室でぺったんこ 提供:神戸市立王子動物園

暑い時期は毛も夏モードになり、よく抜けます。「2月から4月くらいが一番抜けますね。季節変わりにキチンと毛が抜けるということは、新陳代謝が良いということ。タンタンは毛艶も良い。これは健康な証拠です」と、梅元さん。毛を整えるブラッシング係はもっぱら、もう一人の飼育員の吉田憲一さんが、つとめているそう。毛艶が良いのはブラッシングのおかげもあるんですよね、お嬢様。

最近お気に入りの壁ぎわでゴロン