オッペンハイマー、スナイダー、ペンローズ…天才たちが乗り越えた「ブラックホール」を作る理論ともう一つの無限

物理学でも最大の謎の一つとされているものが「重力」です。そこで、重力と天体にまつわる重要な科学史を、新刊『宇宙はいかに始まったのか ナノヘルツ重力波と宇宙誕生の物理学』から紹介します。

重力天体としてられるブラックホールですが、その存在が確かめられる以前は多くの物理学者を困惑させるものでした。この記事では、ブラックホールの存在がいかに理論的に確立されたのか、天才物理学者・数学者たちの足跡を紹介します。

ブラックホールの地平面、そして中心

これまで見てきたように、シュバルツシルト半径の球面は一方通行の面です。

外側から落下するボールなどは内側へ通り抜けることができます。一方、たとえ光の速さであっても、その半径から外側にボールを投げ出すことはできません。

この一方通行の性質をもつシュバルツシルト半径の球面を「ホライズン(地平面)」とよびます。

また、天体の表面がシュバルツシルト半径以下のものをブラックホールとよびます。

ブラックホールのホライズンは、一方通行という特殊性を備えていますが、外側から落下する小さな物体はそのままホライズンを通過することができます。

それでは、シュバルツシルト半径に落下するボールとその表面にいる小さな虫は、どうなるのでしょうか。

ブラックホールに落下するボールと小さな虫(図:酒井春)

ボールと小さな虫は、有限の時間でホライズンに到達します。そして、そのまま中心方向に落ち続けることになります。しかし、中心に到達するのかはわかりません。その理由は、中心でも無限大が生じるためです。

シュバルツシルト解、もう一つの無限

以前の記事では、シュバルツシルト解をドロステの表示形にすると、二つ奇妙なことが生じることを紹介しました。その一つが、これまで見てきた「ある距離=シュバルツシルト半径」でのホライズンです。

もう一方の領域は、「中心」です。このことについて見ていきましょう。

gettyimages

中心とは、シュバルツシルト解の原点に相当する領域です。この表示形による帰結では、そこでは、時空の曲がり具合が無限大になるのです。

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