2024.05.20
体脂肪を燃やす「スイッチ」の役割を持つ「漢方薬」、研究でわかった、気になるその「メカニズム」
防風通聖散のメカニズム私たちにとって身近なツボや鍼灸、漢方薬。近年、そのメカニズムの詳細が西洋医学的な研究でも明らかになってきています。例えば「手のツボが便秘改善に効くとされるのはなぜ」「ツボに特徴的な神経構造が発見された?」「漢方薬が腸内細菌のエサになっている?」など、興味深い研究が数多く報告されているのです。最新の研究では一体どんなことが明らかになっているのでしょうか。
東洋医学のメカニズム研究の最前線をとりあげた一冊、『東洋医学はなぜ効くのか』(講談社ブルーバックス)から注目のトピックをご紹介していきます。今回は、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という漢方薬に注目してみましょう。脂肪細胞と深い関係があるようです。
*本記事は、『東洋医学はなぜ効くのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
*漢方薬を服用する場合には、医師・薬剤師に相談し、決められた用法・用量を守ってください。
防風通聖散はどんな漢方薬?
今回紹介するのは防風通聖散です。抗炎症作用を持つオウゴンやボウフウ、鎮痛作用を持つシャクヤクなど18種類の生薬が含まれています。
防風通聖散に含まれる生薬のひとつ、マオウ / 撮影:大西陽
防風通聖散は、便秘や肥満などの改善に処方される漢方薬です。臨床試験では、肥満症患者の体重を減少させる効果などが報告されています。そのメカニズムについては大変興味深いものがありますが、その前に、まずお伝えしておきたいのは注意点です。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、効能の中に「肥満」というキーワードが入っているため、いわゆる「やせ薬」と勘違いして多用されるケースが後を絶ちません。しかし、副作用として、間質性肺炎や肝機能障害などのリスクがあるので、乱用は禁物です。漢方薬を服用する場合には、医師・薬剤師に相談し、決められた用法・用量を守ってください。