2024年元旦に襲いかかった能登半島地震。知りたいのはこの巨大地震がどのようにして起こったかだが、断片的な報道は続いているものの全体像がつかみにくい。
そこで、東北大学(仙台市)に活断層研究の第一人者、遠田晋次さんを訪ね、能登半島地震がどう起こったのか、さらに活断層と巨大地震の関係などをじっくり聞いた。
ためらわず2次避難所へ移動を
遠田晋次さんの著書、『活断層はどこまで予測できるか』(講談社・ブルーバックス)の書き出しは、こう始まっている。
「それは明日かもしれませんし、10年後かもしれませんし、100年後かもしれません」(プロローグより)
熊本県益城町で震度7(マグニチュード6.5)の地震を記録した2016年4月14日の翌日、災害科学国際研究所の報告会で遠田さんは、「この地震に刺激され、布田川断層か日奈久断層、いずれかの断層が動き、さらに大きな地震が発生する可能性に」ついて語った。
「それ」とは次の巨大地震を指す。
そして就寝した深夜1時25分(4月16日)、「それ」が起こってしまった。前震を上回る震度7、マグニチュード7.3の激震だった。前震から28時間後のことで、電気が復旧したため、自宅に帰った方たちの何人かが倒壊した建物の下敷きとなり亡くなったのだ。
遠田さんによれば、「余震」は「本震」よりも規模が小さいという「刷り込み」が地震学者にもあるという。だが、本震の近くに大きな地震を起こす断層があれば、本震を上回る巨大地震が起こり得る。それが「活断層」だという危険性が周知されていなかったことが悔やまれるとも語る。
その熊本地震の無念の思いから執筆したのが、『活断層はどこまで予測できるか』なのである。
――熊本地震と同様に、今回の能登半島地震でも、今後、同規模かそれを上回る次の巨大地震発生の可能性はありますか?
遠田 あります。しばらくは震度6強以上の地震が発生する可能性は続きます。報道によれば、二次避難をためらう方が少なくないとのことですが、熊本地震の前例を教訓に、命を守ることを何よりも考えていただきたいです。