ビッグテックも宇宙事業に進出
人工衛星を使ったビジネスの加速や、月・火星などの衛星・惑星探査計画の進展により、宇宙関連事業に対する注目が急速に高まっている。
さまざまな企業が事業参入を進めているが、従来は宇宙との関わりが薄かった、いわゆる「ビッグテック」とよばれるIT企業も、その列に加わりはじめた。
世界最大級のクラウドインフラを運営する「AWS(Amazon Web Service)」もその1つだ。
この連載の以前の記事〈市場シェア5割超!世界を席巻する「もう1つのAmazon」の正体〉でも紹介したように、AWSはAmazonの子会社であり、「ネットサービスのインフラ」を提供する会社だ。Amazonを支えているのはAWSが構築したインフラであり、AmazonはAWSにとっての最大顧客の1つという関係にある。
AWSの航空宇宙・衛星ソリューション事業部門ディレクターである、クリント・クロシエ氏に話を聞いた。
アメリカ宇宙軍からの人材登用
クロシエ氏は、2020年に退役するまでの33年間、アメリカ空軍・宇宙軍に所属していた。多くのロケット打ち上げ計画や衛星の設計、2019年に設立された「アメリカ宇宙軍」の計画立案・設立に携わってきた、専門家中の専門家である。
AWSの航空宇宙・衛星ソリューション事業部門ディレクターを務めるクリント・クロシエ氏は、アメリカ空軍・宇宙軍での勤務経験を誇る
「宇宙産業とクラウドは、数年前まではかなり縁遠い関係にすぎませんでした。しかし今や、この2つを組み合わせることで強力なイノベーションと成長のチャンスを生み出せる、と考えています」
クロシエ氏はそう話す。軍を退役後、次なるキャリアとしてAWS宇宙事業のトップを選んだのは、両者が融合する可能性に魅入られたからだ。
そして現在、特に大きな可能性が生じつつある分野がある。