トランプが勝ったことで様々な言動がはてなでもメディアでも飛び交っている。
また、ヒラリーが負けた理由に関しても様々な分析がされている。
細かく見るとキリがないので、大きく2つの敗北を取り上げようと思う。
欧州では、「欧州のための憲法を制定する条約」(欧州憲法条約)の批准に関する国民投票が、フランスで5月29日、オランダで6月1日に行われ、両国ともに否決された。これは欧州を連邦国家としようと考え、EU間の国境をなくしたいと考えていたリベラルに大きな精神的打撃を与えた。
また、選挙結果を分析した結果、低収入・低学歴の層だけでなく女性や中道穏健左派も反対票に多く投じていたことが分かった。
国境や文化を超越し、EUという大きな枠組みの中で共生しようという思想そのものが、一部のエスタブリッシュメントや高学歴の若者にしか支持されていないことを明らかにした。
2008年の8月25日火曜日から8月28日木曜日にコロラド州デンバーで行われた2008年民主党全国大会で、ヒラリー・クリントンを退け、大統領候補にバラク・オバマが選出された。
オバマの勝因は中流階級の民主党内では比較的保守的な白人男性票、中立に近い若者票を多く集めたことと言われており、多くの白人エスタブリッシュメント層はヒラリーを支持していた。相対的にリベラルでない層に支持された側が勝利したと言えるだろう。
余談であるが、このときもリベラル系のメディアが"ヒラリーは女性であるから負けた"という類の主張をしていた。実際はヒラリーがオバマに対して『shame on you』という親が子に使うような強い表現で名指しの批難をしたことが大きいと言われている。
10年前のこれらの出来事から欧米リベラル層は成長しているのだろうか。
"それでもグローバル化の流れを止めることはできない"などとは良く聞く言葉ではあるが、本当にそうだろうか。
今回、本題とは少し逸れる為に取り上げなかったが、多くの移民の流入やテロの影響を受け、EUの理念の根幹をなすシュンゲン協定への圧力が非常に高まっている。また、現時点でさえ厳格化が進んでいたアメリカの入国審査、移民ビザの審査はトランプ政権により、一層厳しいものへとなるだろう。