14日で作る量子コンピュータ
シュレディンガー方程式で量子ビット・量子ゲート・量子もつれを数値シミュレーション
Visual C++版
著者 | 遠藤 理平 |
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判型 | B5変型、228頁 |
ISBN | 978-4-87783-470-8 |
価格 | 本体5,000円 |
発行日 | 2020年4月10日(初版 第1刷発行) |
備考 | ダウンロードサービス:学習に使えるサンプルファイル |
[2021-3-15 更新] 本書の内容について訂正があります。詳細は、こちらをご参照ください。
本書について
量子コンピュータの概念は理解できたが抽象的すぎて腑に落ちないと感じている方々に、基礎方程式を用いた数値シミュレーションによって量子コンピュータの動作原理に迫ります。
本書では、量子力学を勉強して初めに学習する「量子井戸」を用いる量子ドットコンピュータを題材として、「量子ビット」「量子ゲート」「量子もつれ」という量子コンピュータに必要不可欠な要素を、量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式を用いて数値シミュレーションを行います。以上の目的を達成するために、「量子力学についての詳しい解説」や「量子アルゴリズムについての解説」といった一般的な内容は省略し、数値計算に必要な計算アルゴリズム導出はすべて端折らずに詳しく解説しています。
本書の読者層は量子力学の初歩をすでに学習している方を想定していますが、これから量子力学を勉強したい方も、一般的な量子力学のテキストと一緒に本書を活用していただくことで、量子力学の基礎習得に役立つでしょう。
目次
- 0日目 実行環境を整えよ!
- 0.1 Visual Studioの準備
- 0.2 Visual Studioのプロジェクト作成方法
- 0.3 C++プログラムソースの記述と実行
- 0.4 GNU科学技術計算ライブラリの導入
- 0.5 数値積分の実行方法
- 1日目 量子力学の「超」基礎を習得せよ!
- 1.1 電子は「粒」と「波」の性質を併せ持つ量子粒子!
- 1.2 シュレディンガー方程式
- 1.3 ポテンシャル項が時間に依存しない場合
- 2日目 自由空間中の電子の運動を計算せよ!
- 2.1 自由空間中の波動関数
- 2.2 平面波の時間依存性
- 2.3 平面波の規格化
- 3日目 ディラックのデルタ関数を習得せよ!
- 3.1 ディラックのデルタ関数の導入
- 3.2 ディラックのデルタ関数を用いた平面波の規格化
- 4日目 電子波束の運動を計算せよ!
- 4.1 電子波束の作り方
- 4.2 ガウス波束の運動シミュレーション
- 4.3 波束の速度(群速度)の導出
- 5日目 井戸型ポテンシャル中の電子の運動を計算せよ!
- 5.1 無限に深い井戸型ポテンシャルに対する固有状態
- 5.2 電子の固有状態の運動アニメーション
- 5.3 エネルギー固有関数の直交性の確認
- 6日目 量子井戸に静電場を加える方法を解説するぞ!
- 6.1 静電場を加えたときのハミルトニアンと固有方程式
- 6.2 展開係数が満たす連立方程式の導出
- 6.3 行列の固有値と固有ベクトル
- 7日目 静電場を加えたときの電子の運動を計算せよ!
- 7.1 〈m | V | n〉の数値積分だ!
- 7.2 行列の固有値問題の数値計算しよう!
- 7.3 固有関数の空間依存性を調べよう!
- 7.4 静電場強度依存性を確かめよう!
- 7.5 空間分布の中心を計算しよう!
- 8日目 量子井戸の形状を改良するぞ!
- 8.1 量子井戸の固有状態と量子ビットの関係
- 8.2 ポテンシャル障壁あり量子井戸の固有状態
- 8.3 ポテンシャル障壁あり量子井戸に静電場を加えてみよう!
- 9日目 量子井戸へ電磁波を加える方法を解説するぞ!
- 9.1 マクスウェル方程式の復習だ!
- 9.2 電磁場中の電子のハミルトニアン
- 9.3 計算アルゴリズムの導出
- 9.4 電磁波を入射するための方法
- 10日目 量子井戸に電磁波を入射せよ!
- 10.1 一番簡単な系でルンゲ・クッタ法の動作確認!
- 10.2 Xnmの計算確認
- 10.3 電磁波で状態遷移をシミュレーション!
- 10.4 角振動数をずらしたときのラビ振動を確認
- 10.5 ラビ振動の解析解
- 11日目 1量子ビット量子ゲートを完成させるぞ!
- 11.1 改良版量子井戸でラビ振動を確認せよ!
- 11.2 1量子ビットの基本量子ゲートについて
- 11.3 量子ゲートと物理的操作の対応
- 11.4 1量子ビットの全ユニタリーゲートの完成!
- 12日目 量子井戸を並べる方法を解説するぞ!
- 12.1 2粒子に対するシュレディンガー方程式
- 12.2 2つの量子井戸のクーロン相互作用
- 12.3 クーロン相互作用を考慮したときの固有状態の計算法
- 12.4 量子井戸を改良したときの固有状態の計算法
- 12.5 独立した2電子の確率分布の計算方法
- 13日目 2量子井戸の定常状態を計算せよ!
- 13.1 〈l1,l2 | V12 | m1,m2〉の計算
- 13.2 クーロン相互作用のみを考慮したときの固有状態の計算
- 13.3 改良量子井戸でクーロン相互作用のみを考慮したときの固有状態の計算
- 13.4 改良量子井戸でクーロン相互作用と静電場を考慮したときの固有状態の計算
- 14日目 2量子井戸のラビ振動を計算せよ!
- 14.1 2量子井戸へ電磁波を加える方法
- 14.2 Xnm = 〈n | x1 + x2 | m〉を計算
- 14.3 2量子井戸のラビ振動の計算結果
- 14.4 制御NOTゲートの定義
- 14.5 量子もつれ(量子エンタングルメント)の生成方法
- 14.6 |10〉 → |01〉間接遷移による量子もつれの生成