書籍『14日で作る量子コンピュータ Visual C++版』訂正情報

2021-3-15 更新

本文中に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

本文33ページ下から5行目

誤:また、式(2.13)から直ちに\(|A|^2 = 1\)となって\(A = 1/\sqrt{2}\)が得られるな。

正:また、式(2.13)から直ちに\(L|A|^2 = 1\)となって\(A = 1/\sqrt{L}\)が得られるな。

本文55ページ下から6行目(下記追加情報もご参照ください)

誤:\(v = 0.93\times10^{-9} / 100\times10^{-16} = 1.9\times10^6\) [m/s]

正:\(v = 1.525\times10^{16} / 1.620\times10^{10} = 0.941\times10^6\) [m/s]

本文79ページ上から8行目

誤:(6.15)の右辺第1項目 ⇒ 正:(6.15)の左辺第1項目

本文79ページ上から10行目

誤:(6.15)の右辺第2項目 ⇒ 正:(6.15)の左辺第2項目

本文153ページ下から3行目

誤:電磁波の強度に比例 ⇒ 正:電磁波の強度に反比例

本文203ページ上から10行目

誤:(※2)\(\langle n|m\rangle b_m = \delta_{nm}\)は…

正:(※2)\(\langle n|x_1 + x_2|m\rangle\)は…

本文203ページ下から6行目

誤:\(\langle 0|x_1|0\rangle b_m = -1.3L\)(\(x_1\)の平均)と\(\langle 0|x_1|m\rangle b_m = 1.3L\)(\(x_2\)の平均)で打ち消しあって…

正:\(\langle 0|x_1|0\rangle = -1.3L\)(\(x_1\)の平均)と\(\langle 0|x_2|0\rangle = 1.3L\)(\(x_2\)の平均)で打ち消しあって…

追加情報

補講A:ガウス波束の解析解

4日目には波数分布(\(a(k)\))がガウス分布で表されるガウス波束の数値計算を行ってもらったな。このガウス波束の運動は解析的に計算することもできるので以下に示すぞ。なお、シュレディンガー方程式で導かれる分散関係(\(\omega\) と \(k\) の関係)は式(2.6)で示したとおり \(k\) の2乗に比例するのじゃが、ここでは分散関係をより一般的に \[ \omega(k) = \alpha |k| + \beta k^2 \tag{A001} \] とするぞ。シュレディンガー方程式の場合には \(\alpha=0\), \(\beta = \hbar/2m\) で、マクスウェル方程式ならば、\(\alpha=c\), \(\beta=0\) に対応するぞ。式(A001)を式(4.1)に代入して、指数部分を\(k\)で整理すると次のようになるぞ。 \[ \psi(x,t)= a_0 \exp\left[ -\frac{ k_0^2 }{4\sigma^2} \right] \int\limits_{-\infty}^{\infty}\!\! dk\, \exp\left[-\left(\frac{ 1 }{4\sigma^2} +i\beta t \right)k^2+\left(\frac{ k_0 }{2\sigma^2} +i(x-x_0)-i\alpha t\right)k \right] \tag{A002} \]

\(k\) に関する積分を実行すると実空間における波動関数が得られるな。この積分はガウス積分と呼ばれ、 \[ \int_{-\infty}^\infty e^{-ax^2} dx =\sqrt{\frac{\pi}{a}} \tag{A003} \] となることが知られているぞ。式(A002)の指数部分を平方完成してこの公式を適用すると積分結果は次のようになるな。 \[ \psi(x,t)= \frac{2\sigma a_0}{\sqrt{1+i4\sigma^2\beta t}} \exp\left[ -\frac{ k_0^2 }{4\sigma^2} \right] \exp\left[ -\frac{ \sigma^2 }{1+i4\sigma^2\beta t}(x-x_0-\alpha t-i\frac{k_0}{2\sigma^2})^2 \right] \tag{A004} \]

ガウス波束のピーク位置やパルス幅を見積るために絶対値の2乗を計算すると \[ |\psi(x,t)|^2=\frac{4\sigma^2 |a_0|^2}{\sqrt{1+16\sigma^4\beta^2 t^2}} \exp\left[ -\frac{ 2\sigma^2 }{1+16\sigma^4\beta^2 t^2}(x-x_0-\alpha t-2\beta k_0 t)^2 \right] \tag{A005} \] が得られ、これからガウス波束のピーク位置 \(x_{\rm peak}\)、ピークの高さ \(h_{\rm peak}\)、パルスの幅 \(w(t)\) を見積ることができるわけじゃな。ピーク位置は指数関数が0となる条件から、ピークの高さは係数から、パルス幅はピークの \(e^{-1}\) の高さのところの幅と定義することで、それぞれ次のように得られるな。 \begin{align} x_{\rm peak}(t) &= x_0+(\alpha +2\beta k_0) t \\ h_{\rm peak}(t) &= \frac{|\psi(x,t)|^2}{|\psi(x,0)|^2}=\frac{1}{\sqrt{1+16\sigma^4\beta^2 t^2}}\simeq \frac{1}{4\sigma^2\beta t} \\ w(t) &= 1+16\sigma^4\beta^2 t^2 \end{align}

以上からガウス波束は時間とともに広がりながら運動していくことがわかるな。ピークの速度は \(\alpha\) と \(2\beta k_0\) にそれぞれ比例するわけじゃが、これは群速度と一致するぞ。以上じゃ。


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