旅程未定

瀬戸内海を飲み干したい

202309欧州旅行記|12 レールジェットの旅

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6日目 9月8日(金曜日)

 

 

喉が渇いて目が覚めた。部屋の乾燥は喉にとっては大敵だが、デメリットばかりではない。昨晩洗濯したTシャツは完璧に乾ききっていた。旅行中背負って歩いているカメラバッグのうち、衣類に割り当てられた区画はごく僅か。宿泊中に洗濯できないと着る服が無くなってしまう。

今日は8時台の列車でプラハを発つ。チェックアウトを済ませて地下鉄でプラハ本駅に向かう。

まぶしい

 

 

プラハ本駅 なんだか味気ない

少し早めに着いて乗車する列車のプラットホームが確定するのを待つ。外をうろついて暇を潰してみる。味気ない駅舎だと思ってた構造物の上には道路が走っていて、その通りに面して立派な駅舎があるらしい。それを帰国後に知って上に登らなかったことを悔やんだ。

 

電光掲示板でこれから乗車するRJ 595列車の情報を得る。乗り場は「5S」と表示されている。数字に続くアルファベットは南北を示すが、英語のSOUTH(南)ではなくチェコ語SEVER(北)である。油断していると真逆に向かうことになる。

 

 

階段を登った先には憧れの列車が待ち構えていた。オーストリアはウィーンを経てグラーツへと向かう高速列車 railjet 595列車は、発車の準備をしながらやってくる乗客を迎えていた。興奮を抑えきれずシャッターを切りまくる。すると隣にやってきた上品そうなおばさまが「So coooool!!!!!!」とはしゃいでいたのでこちらも全力ではしゃいだ。

 

 

ハイテンションそのままにホーム前方へと進んでみる。ČD所属の鮮やかなブルーの客車の前には、ÖBBの機関車が繋がれていた。チェコオーストリア両国の所属機・所属編成がランダムで来るのでガチャガチャのように楽しむのがよいかもしれない。

最高の晴れ空の下で発車を待つワインレッドのタウルスを舐め回すように撮る。そんなこんなで発車時刻が近づいてきたので車内に入る。economyとfirstで金額の差がさほど大きくなかったのでfirstのチケットを取った。

窓上に黄色帯の入った客車はfirst(1等車) グリーン車の窓下の淡緑6号帯を彷彿とさせる




 

列車は北に走り出してプラハの街に別れを告げる。車窓が郊外に変わってきた頃合いで、食堂車からウェイターがやってきた。firstの乗客には何やらサービスがあるらしい。コーヒーでもいかが?と尋ねられたのでカプチーノを頼んだ。

 

 

しばらくして現れたウェイターが手にしていたのはカプチーノと決済端末。勝手にウェルカムドリンクのようなものかと勘違いしていたが、これは食堂車の営業にまんまと釣られただけであった。もっとも、こちらが英語を理解できなかっただけなので、向こうにその気はないだろう。コーヒーを啜り車窓を眺める朝もなかなかよい、と自分を納得させる。

 

 

 

 

先ほどは向こうから営業を仕掛けてきた食堂車にこちらから出向いてみる。自席のある車両は半室first・半室restaurantの合造車で、1両丸ごと食堂車だった2日前のECと比べるとこじんまりとした印象である。2人掛けのテーブルに陣取りメニューをパラパラとめくる。

ウィーンに着くまではhappyhourとのことなので、やはりビールを飲まないわけにはいかない。ビールと軽くつまみをオーダーした。

全世界の全列車にビールサーバーを備え付けてほしい

黒ビールは瓶で供された。流れる車窓を肴に手酌で喉を潤す。これを飲み干すころには国境の街、Břeclavブルジェツラフに到着していた。ここから先はこの欧州旅行で4つ目の訪問国、オーストリアだ。

 

看板の文字はドイツ語に変わり、すれ違う列車もÖBBのローカル列車が目立つようになってきた。ウィーンまではあと少しだ。

 

 

ウェイターを呼んで会計をする。決済端末にクレジットカードをタッチする。しかし決済が上手くいかない。何度か試してみるも弾かれてしまう。困ったことになった。ウェイターがやや苛立ちを見せ始めるなか、プラハのATMで下ろしたチェココルナが残っていることを思い出した。不用心にも自席に残したままの財布を取りに戻り、無事支払いを済ませた。手元には旅行記念程度のコインが数枚残った。

 

誰も触りたがらない風貌 鞄から飛び出たマイクの風防はスピーカーに向けられている

 

 

デビュー直前の新型nightjetと遭遇

のどかな平原を抜けて車窓は徐々に都会的になってきた。広大なヤードを眺めたりしていると、程なくしてWien Hauptbahnhof ウィーン中央駅に到着した。

 

 

コンクリートとガラスで形作られた無機質な空間に鮮やかなカラーリングの列車が滑り込み風景が完成する。「男の子ってこういうの好きなんでしょ?」と真正面からぶつけられて完敗宣言。このままホームに居ると危ないので、ホームを降りてコンコースに出る。


入線してくる列車がガラス越しにチラ見えして完全にやられてしまった。



 

つづく