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データベース

Loyal Guru、AlloyDB for PostgreSQL でクエリのレイテンシを 40~50% 短縮

2024年7月10日
Jesús Antonio Canales Diez

Platform Tech Lead, Loyal Guru

※この投稿は米国時間 2024 年 7 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: ロイヤリティと特典のパーソナライゼーション プラットフォーム、Loyal Guru は、Google Cloud のスケーラブルでセキュアなアーキテクチャを利用して、小売業界のお客様が高度にパーソナライズしたカスタマー エクスペリエンスをリアルタイムで実現できるようサポートしています。AlloyDB for PostgreSQL のような Google Cloud データベースを活用することで、パフォーマンスのボトルネックを解消し、クエリのレイテンシを 4050% 短縮しました。


Loyal Guru は、ニーズが目まぐるしく進化するなかで顧客エンゲージメントと顧客ロイヤリティを高めるという小売業者の課題を理解しています。ロイヤリティと特典をパーソナライズする Loyal Guru プラットフォームでは、小売業界のお客様が顧客データを分析し、顧客の好みやコンテキストに応じてプロモーションを動的にカスタマイズできます。目標は、関連性を高め、小売業者のお客様が顧客との長期的な関係を構築できるようサポートすることにあります。

当社にとって、イノベーションは死活問題です。小売業界の進化が止まらない今、私たちも進化していかなければなりません。真にパーソナライズしたカスタマー エクスペリエンスを迅速かつ大規模に実現するうえで、堅牢なプラットフォームが役に立つことはわかっていました。そこで、インフラストラクチャやデータベースを強化するために Google Cloud を採用しました。AlloyDB を、Firestore BigQuery のような Google Cloud プロダクトと併用すれば、プラットフォームの機能を継続的に強化していくためのアジリティとパフォーマンスを確保し、後手に回らぬよう新たなトレンドを予測することもできます。

高パフォーマンス データベースを活用してパーソナライズ機能を強化

Loyal Guru は、プロモーション、特典、ブランド エクスペリエンスのパーソナライゼーションによって、小売業者のお客様が顧客との関係を深めることができるように設計されています。ただし、このパーソナライゼーションを大規模に実施するには、強力なデータ処理と分析の機能が必要です。小売業者は、さまざまなタッチポイントで顧客の行動データをリアルタイムで取り込んで対応し、高精度のオーディエンス セグメンテーションと動的な特典調整によって関連性を最大限に高めなければなりません。

このようにミッション クリティカルなパーソナライズ機能を実現するには、高パフォーマンスでスケーラブルなデータベースが必要です。当社のお客様は、顧客とのやり取りが生じたときにクエリや更新を行うため、顧客データ、特典の詳細、トランザクション レコードなどへ即座にアクセスする必要があります。しかし、データベースが過負荷の状態になると、応答が遅くなり、お客様のエクスペリエンスの質が低下します。そこで、Google Cloud のデータベース上に自社のプラットフォームを構築することにしました。

セキュアでスケーラブルなデータベース戦略

当社のアーキテクチャの中核となるのは、Google Cloud 3 つの強力なデータ プロダクト(AlloyDB for PostgreSQLFirestoreBigQuery)です。

トランザクション ワークロード用の AlloyDBGoogle Cloud データベースの卓越したスケーラビリティとパフォーマンスは知っていましたが、リレーショナル データベースとして機能する AlloyDB の優れたパフォーマンスと高速分析機能も期待以上でした。AlloyDB は、ユーザー プロファイル、ロイヤリティ プログラムの詳細、特典の交換など、主要なトランザクション プロセス全般を支えています。これによって、当社の API がクリティカルなデータにアクセスする際の信頼性が向上し、レイテンシも短縮できます。また、AlloyDB Gemini を駆使して、サービスの拡張に役立つ生成 AI アプリを構築するための強力な基盤も整備できます。

AlloyDB の導入前は、大規模な小売イベントの際に Loyal Guru のトラフィックが急増し、ボトルネックが頻繁に生じていました。増大するデータへの対処にも苦労し、ストレージ容量も限界に達していました。ストレージ管理に AlloyDB Autopilot 機能を活用すれば、手作業で処理しなくても、需要に応じてストレージ容量を自動的に調整してくれるため、このような問題の軽減に役立ちました。総じて、クエリのレイテンシが 4050% 短縮され、ストレージ容量も最適化によって 2 TB から 1.3 TB へと 35% も削減できました。

同時読み取り用の Firestoreロイヤリティ ポイント残高や製品カタログといった比較的静的なデータを高スループットで読み取るオペレーションの場合は、Firestore Datastore モードで使用します。速度を落とさずに大規模な同時実行を処理できるため、読み取りの負荷の高いワークロードに最適です。これにより、当社のサービスを利用する小売業者からの読み取り負荷が最も高いときでも、プラットフォームの高い可用性とパフォーマンスを維持できるようになりました。

分析用の BigQueryデータアセットから最大限の価値を引き出すために、BigQuery を利用して大規模な行動データセットを処理し、分析情報とビジネス インテリジェンスを取得しています。当社はデータ ウェアハウス ソリューションとして BigQuery を使い複雑なクエリを実行し、トレンドを可視化して、戦略的な意思決定に役立つインサイトを創出しています。この分析機能は、顧客データに基づいてパーソナライゼーション モデル、キャンペーン戦略、プロダクト ロードマップを最適化するうえで欠かせません。BigQuery のスケーラブルなフルマネージド インフラストラクチャにより、インフラストラクチャの制限に悩まされることなく、大規模なデータセットや複雑なクエリを高速で処理できます。

この 3 つのデータ プロダクトに加えて、さまざまな Google Cloud コンポーネントも活用しながら、高可用性を備えたセキュアなサービスを提供しています。Google App Engine フレキシブル環境 Loyal Guru API を自動的にスケールし、Firebase Hosting でキャンペーン管理用のプログレッシブ ウェブアプリ(PWA)をホストしています。また、Cloud Load Balancing Cloud Armor を併用して、トラフィック分散を実施し、クラウドネイティブ セキュリティを確保しています。Cloud Balancing を利用すれば、ローテーションとエスカレーションのポリシーを改善してサービスのスケーラビリティと信頼性を向上させながら、無効な試行や攻撃が GAE サービスに到達する前にフィルタできます。これに Cloud Armor を組み合わせれば、XSS SQLi などの一般的な不正行為を検出できるようになります。

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Loyal Guru のインフラストラクチャ システムのアーキテクチャ図

今後の Google Cloud 活用予定

Google Cloud のフルマネージド サービスでインフラストラクチャを最適化することで、セキュリティが強化され、データベースのパフォーマンスが向上し、お客様に対する SLA コミットメントを達成することができました。Loyal Guru API からデータベースへのレイテンシは約 60% 短縮されました。

今後は、信頼性と可用性を高めるためにリードレプリカを組み込む予定です。これらの成長にもスムーズに対応できるよう、AlloyDB で今後リリースされる水平方向のスケーリングに役立つ新機能も活用したいと考えています。さらに、リアルタイムに近い運用プロセスを実現するために、BigQuery ワークロードの一部を AlloyDB に移行する見通しです。

Google Cloud の強力なデータベース ラインナップによって Loyal Guru のプラットフォームは劇的に進化し、パフォーマンスの信頼性を確保しながら、小売業者のお客様のために関連性を高めるという処理を大規模に行えるようになりました。これからも新境地を開拓し、イノベーションを加速させてお客様の期待を上回る成果を挙げるうえで、このようなデータベースが要となるでしょう。

使ってみる

ー Loyal Guru、プラットフォーム担当テクニカル リーダー Jesús Antonio Canales Diez 氏

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