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著者の荒地 潤が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ドル/円は、まだ買ってはダメ! 週末「介入第二弾」の可能性?」

今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは161.40

下値メドは157.10 

米大統領選:バイデン大統領がペンシルベニア州で負けた場合、最低でもジョージア州、ミシガン州、ノースカロライナ州で勝たなければ「2期目はない」 
石油危機:シェールオイル大増産で米国経済は石油価格上昇の影響を軽減 
欧インフレ:チポローネECB理事「インフレは2025年央までに目標値に達する」 
豪インフレ:CPI高止まり。RBAの利下げサイクル開始には程遠い水準  
スイス:SNBは昨年32億スイスの損。預金の金利上昇コストとスイス高で  

前日の市況

 7月11日(木曜)のドル/円相場は前日比2.82円の「円高」。
この日のドル/円は1日の値幅として今年3番目の下落幅を記録した。今年の最大は4月29日の5.70円、その次が5月1日の5.00円。いずれも政府・日銀の介入によるものだ。

出所:楽天証券作成

 2024年139営業日目は161.60円からスタートして、東京時間夕方にこの日の高値となる161.76円をつけた。その後は162円台をにらみながら米指標発表待ちモードが続いた。

 この日発表の6月の米CPI(消費者物価指数)は、2020年5月以来4年ぶりの前月比マイナスとなり、米インフレ率の鈍化が明らかになった。FRB(米連邦準備制度理事会)の「9月利下げ」期待が再浮上するなかで、米長期金利は4.15%前後まで低下し、日米金利差は今年最狭水準まで縮小した。これを受けてドル/円は4円超の大幅下落。夜遅くには157.42円まで下落した。終値は158.89円。24時間のレンジ幅は4.34円。

 弱い米CPIでドルに売りが入ったとはいえ、ユーロなど他通貨と比較しても、円の動きが「異常」だったことから、マーケットでは介入があったとの噂が流れている。

週末から来週前半の「円安・円高のメド」

 ドル/円のこの下げは中期的には絶好の買い場かもしれないが、慌てて買うことはせず、慎重に見定めたい。介入は1回で終わりとは限らないからだ。今年は4月29日と5月1日で、いずれも指標発表後や流動性の低い時間帯を狙った介入だった。今夜のNY市場終了間際、東京市場が休場となる来週月曜早朝などは政府・日銀が投機的な動きを叩き潰そうと待ち構えているおそれがある。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 円安のメドは、161.11円、161.52円、161.76円
 円高のメドは、157.42円、157.15円、155.71円

短期:円高

 7月のドル/円のレンジは、157.42円から161.95円。
 高値と安値の50%(中間点)は、159.69円。
 中立点から見て現在の水準は、「円高」。

2024年 主要指標終値

出所:楽天証券作成