美容エディター界きっての「コスメの目利き」との呼び声の高い森山和子さんが、毎月のお題に合わせて、製品への溢れ出る愛とともに令和の新名品を紹介するビューティ連載。第21回目は、目にはみえなくとも印象を左右するアイテムをフューチャーします。
私らしさを印象づける、香りのはなし
そろそろ春?なんて思いながらもまだまだ寒暖差が激しい今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。間もなく桜も咲き始めると、再び新学期や新生活がスタートしますね。初めましての挨拶も増える時期ですが、そんな時に印象として残るものは決して服装やメイクだけではないはず。というのも、個人的には"香り"はかなり大きいものだと感じています。それはただ『いい香り』と感じさせるだけでなく、纏う香り次第でよりその人のイメージまでも左右するものだからです。だからこそ香りはすごくパーソナルなものであり、自分らしさを表すための1ピース。今回は香水だけにとどまらず、香りを楽しめるアイテムをピックアップしてみたので、印象アップツールとしてぜひ効果的に取り入れてみて下さい。
韓国の大人気フレグランスブランド『TAMBURINS』が日本上陸!
BLACKPINKのジェニーがアンバサダーを務めるブランドとしても知られる、韓国発の人気ブレグランスブランド『タンバリンズ』が、3月14日に青山にOPEN! 2018年のブランド誕生時から、アートスぺースを想起させる空間に、チェーン付きのハンドクリームと数点のアイテムのみを展示するという大胆なスタイルで、まさに“映え”のカルチャーまでも牽引。当時カロスキル店を訪れたときは、「なんだこの贅沢な美術館のようなお店は!」と、かなり衝撃を受けたほど。現在も魅力的なプロダクトとコンセプチュアルな世界観は健在ですが、「型にはまらない美しさを追求する香りのコスメブランド」がコンセプトなだけあって、その香りは新鮮に感じるものが豊富。それでいて突き放すことのない”人馴染みの良い”香りが揃うことが、支持を得ている理由なのだと思います。
左は貝殻をモチーフにしたハンドクリームですが、中身が酸化しにくいエアレスポンプ式。数種類ある中でも、この『CHAMO』はジェニーのお気に入りの香りとして人気が高く、軽やかなウッディの香り。手を潤すためというよりも香り目当てで塗ってしまいます。さらに、エッグ型のフレグランスも数種ありますが、このホーリーメタルの香りは微かに深い森のような、ブルーヒノキの葉とセージ、ホワイトムスクが漂うユニセックスな香りがお気に入りです。しばらくは混雑必至が予想されますが……、新しい自分らしさに出会えるアイテムを見つけにぜひ店舗を訪れてみて下さい。
着想源は『図書館』。古書やインクの気配で個性を纏う
図書館と聞くと、一度でも訪れたことがある人なら何となく思い浮かべる香りの記憶があるかと思います。あの、紙が積み重なることで生まれる独特な香り。個人的にまさにその紙やインク、本棚の木材までも混じるちょっと埃っぽい(褒めてます)香りがなんとも好きなんですよね。このフエギア 1833は、2010年にアルゼンチンのブエノスアイレスで誕生したフレグランスブランドですが、香りの原料調達から、パッケージの作成まで全てを自社で手掛けるという徹底ぶり。また、パタゴニアの大自然や歴史、文化や人物の他、彼の愛する詩やタンゴ等からインスピレーションを得てクリエイションされた香りは、なんと約120種にものぼります。その一つ一つにはストーリーがあって、香りと共に情景が浮かぶのが楽しくて、つい店舗であれこれとお試ししては妄想にふけってしまうほど(笑)。
そんな中でも、ここ約8年ほど愛用しているのが、この『ビブリオテカ デ バベル』。『バベルの図書館』という名前は、ジュリアンが愛する南米の詩人・作家のホルヘ・ルイス・ボルヘスの詩のタイトルだそうで、初めて香りを試した瞬間、感動と喜びで体中の細胞がうわ~っ!と震えたのを覚えています。ウッディな中にシナモンのスパイスが顔をのぞかせる、温かく深みがあって、穏やかな香り。私の頭の中にはいつも、経年を感じさせる木の本棚がズラリと並ぶ歴史的でちょっとミステリアスな図書館が脳裏に浮かびます。個人的に香りはパーソナルなものだと捉えているので、自分だけの香りを見つけたいと常に探し回っていますが、これは私的な永久定番。個性ある香りを求めている方は、ぜひ。