帝王学 貞観政要
帝王学 貞観政要とは
貞観政要とは、唐の二代皇帝太宗こと李世民が、家臣(魏徴、房玄齢など)とやり取りした会話を記録したもで、「聖君ならば、国はよく治まる」という儒教思想をベースにした書。漢民族の王朝だけでなく、契丹の遼、女真族の金、清の王朝で帝王学の書として扱われた。李世民の治世の元号は「貞観」であり、その治世の政治の要綱という意味で「貞観政要」と名付けられる。
AppStoreにて、ご提供中世界の歴史 ハンドブック内に収録。
帝王学 貞観政要
十思
「十思の一」欲しいものが現れた時は「足るを知る」(老子)を思い出し、自戒すること。
「十思の二」宮殿増築の際は「止まるを知る」(老子)を思い出し、人民の生活を思い出せ。
「十思の三」遠大な野望が頭に浮かんだときは、自分の能力をよく吟味せよ。
「十思の四」手に負えないことが発生した場合は多くの小さな原因の結果であると思え。
「十思の五」遊びたくなったら、三度までなどの制限を設けよ。
「十思の六」怠惰になったなら、初心を思い出し、結果を顧みよ。
「十思の七」自分の周りがイエスマンばかりだと思ったら、下の者の意見を率直に聴け。
「十思の八」讒言や陰謀に恐れが出たら、自分の居住まいを正せ。
「十思の九」恩恵を与えるときは喜びのあまり過分に与えてしまっていないか吟味せよ。
「十思の十」刑罰を加えるときは怒りのあまり、苛烈すぎないか考えよ。
九徳
「九徳の一」寛にして栗(りつ)。寛大で率直。
「九徳の二」柔にして立(りつ)。柔和で自立している。
「九徳の三」愿(げん)にして恭。まじめで謙虚。
「九徳の四」乱にして敬。仕事がテキパキしていて礼儀正しい。
「九徳の五」擾(じょう)にして毅(き)。素直で仕事はテキパキしている。
「九徳の六」直にして温。まっすぐで温かい。
「九徳の七」簡にして廉。簡素で潔白。
「九徳の八」剛にして塞。強くて充実している。
「九徳の九」彊にして義。強くて道にかなう。
六正
「六正の一」聖臣。その予兆もないのに危機を察知し未然に防ぐ者。
「六正の二」良臣。君主を儒教的な礼の立場から導くことのできる者。
「六正の三」忠臣。勤勉で逸材の登用に熱心なもの。
「六正の四」智臣。事象を分析し、危機を未然に防げるもの。
「六正の五」直臣。国家が危機の時でも君主の怒りを恐れず、君主の誤りを直言できるもの。
「六正の六」貞臣。法の尊重と倹約を旨としているもの。
六邪
「六邪の一」具臣。何もせず国の禄を食んでいるだけの者。
「六邪の二」諛臣(ゆしん)。君主にひたすら迎合するもの。
「六邪の三」奸臣。外面だけいいもの。
「六邪の四」讒臣(ざんしん)。雄弁で、自分の欠点を隠すのが上手いもの
「六邪の五」賊臣。謀反に至る可能性のある越権行為を君主に対して行うもの。
「六邪の六」亡臣。君主の耳目を塞ぎ、徒党を組んで、君主を陥れる者。