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群馬県の旧沼田藩主の家に生まれ、パン好きの「殿様」として知られた土岐章子爵(1892~1979年)が大正時代に「落花生みそパン」のレシピを残したことにちなみ、沼田市の「令和の殿様パン」を開発するプロジェクトが始動した。小中高生に落花生を使ったパンのアイデアを寄せてもらい、ご当地パンとして販売する。
土岐は東京帝国大学で発酵学を学び、パンの製造販売を東京で始めた。軌道に乗らずに数年で手を引いたが、「木村屋(当時)」などパン業界草分けの人々と交流を深め、「パンの殿様」と呼ばれた。おかずが刺し身でもパンを主食とするほどで、自宅に作った窯でパンを焼いていたという。
落花生みそパンのレシピは、自著「パンの知識と製法」(1919年)の中で掲載された。きつね色に煎った落花生をすり鉢ですり、砂糖、食塩をよく混ぜてひき直し、さらに小麦粉とベーキングパウダーを混ぜて焼く。「火の程度は上の方を強く下の方を弱く」との注意書きも添えている。
東京都渋谷区にあったドイツ風住宅の旧土岐邸洋館は1990年に沼田市中心部に移築され、観光拠点となっている。市は新たな観光振興策として、現代版殿様パンの開発に乗り出すことを決めた。
市は来月末まで落花生を使ったパンのイラストを募集している。個人、団体を問わず、小中高生であれば、誰でも応募が可能だ。アイデアを基に市内のパン屋などに試作を依頼し、今年度中の完成を目指す。
市街なか対策室は「若々しい柔軟な発想で、沼田に足を運んで買いたい、SNSに投稿したいというようなパンのアイデアを」と呼びかけている。応募用紙は市ホームページからダウンロードする。問い合わせは同室(市代表0278・23・2111)へ。