四季折々異なる美しさ

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 春、見慣れているとはいえ、こんもりとした樹冠に山吹色の花を見かけた折、私たちを豊かな気持ちにさせてくれるのがヤマブキ(山吹)です=写真=。

 ヤマブキは北海道南部、本州、四国、九州に自生し、朝鮮半島、中国にも分布する落葉広葉低木です。種子でも繁殖しますが、地下茎を伸ばした根から発芽し、根元から数本が育って株立ち状となり群生します。真っすぐに伸びた枝先はしなやかに垂れさがり、樹形は大きな わん を伏せたようになって自然に整います。

 ヤマブキは樹木ですが、若い茎は鮮やかな緑で、樹皮は滑らか。しかし、次第に木質化して3~4年で枯れてしまいます。

 秋には葉が美しい山吹色となり、その後、ゆっくりと落葉して初冬まで黄葉が楽しめます。さらに冬は、緑の茎が観賞できることから、冬場に緑の少ない欧米では、日本や中国から渡来したヤマブキは人気があります。

 あまりに身近なヤマブキですが、季節ごとに観察すると、開花や黄葉、樹形、茎等、その折々でさまざまな美しさを持ち合わせた万能の庭木ということがわかります。

 万葉集ではヤマブキの歌が20首近くもあり、多くが大伴家持の歌です。「山吹をやどに植えては見るごとに思いはやまず恋こそまされ」と庭のヤマブキを詠んでおり、昔から人々の身の回りで愛されてきた植物であることがわかります。(国営昭和記念公園自然観察ガイド 樹木医 椎名豊勝)

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5201715 0 園芸ゼミ 2024/03/31 05:00:00 2024/03/31 05:00:00 /media/2024/03/20240330-OYTAI50029-T.jpg?type=thumbnail

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