華やかでニヒル、凄絶な女の魅力を演じた…高峰秀子生誕100年で各地でイベント・展覧会・関連書籍
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1950~60年代の日本映画黄金期に活躍した女優の高峰秀子(1924~2010年)が27日で、生誕100年を迎える。節目の年を記念し、各地で展覧会や上映イベントが開かれている。名文家としても知られ、エッセーなど関連書籍の出版も相次ぎ、不世出の女優の魅力を伝える。
特集上映
子役時代から半世紀にわたって、300本余の映画に出演。木下恵介監督作の「二十四の瞳」や、成瀬巳喜男監督作の「浮雲」「あらくれ」など名匠とタッグを組んだ代表作が多い。娘、妻、母と各年代で演じた役柄は幅広いが、やつれの底に執着をしのばせる成熟した女性の役が絶品だった。松竹、東宝、KADOKAWAなど映画会社も名を連ねた実行委員会が様々なイベントを主催したり、発信したりしている。
出演作の特集上映が目白押しだ。ラピュタ阿佐ヶ谷(東京・阿佐ヶ谷)では4月27日まで「馬」など子役、少女時代の出演作を中心に紹介。国立映画アーカイブ(同・京橋)では4月9日から5月5日まで、デビュー作「母」から、最後の出演作「衝動殺人 息子よ」までの22本を上映する。
愛蔵品展示
新進俳優だった仲代達矢さんを相手役に、
東京タワーの特別会場で開く「逆境を乗り越えた大女優 高峰秀子の美学」(3月28日~5月6日)は、磨かれた審美眼やセンスの良さに触れる機会となりそうだ。文机や直筆原稿など愛蔵品から人物像を探る内容で、日本橋三越本店(同・三越前)の展覧会「高峰秀子が愛したきもの」(3月27日~4月9日)では愛用の着物を展示する。
関連本相次ぐ
20代で単身渡仏した時の滞在記『
おしどり夫婦で知られた映画監督の夫・松山善三との生活を振り返った『高峰秀子 夫婦の流儀 完全版』(ちくま文庫)や『高峰秀子の言葉』(文春文庫)などからは実直な生活ぶりや人生哲学がにじむ。(文化部 木村直子)
ニヒリズム、気だるさ 見事に 共演の仲代達矢さん
「女が階段を上る時」「人間の條件 完結
今でも覚えてますが、私が新劇出身と知ってのことでしょう、こんなことを言われたことがありました。
「芝居の人は幕が開くと序幕から二幕三幕と順々にやるけど、映画ってのはパズルみたいなもんで、いろんなシーンから撮るからね。気持ちの入れ方だって、ちゃんと初めから計算しとかないといけないの。舞台の人は映画俳優のことをちょっと低く見るけど、舞台の人より映画俳優の方がしんどいし難しいのよ」
そういうことを皮肉っぽく、ズバリと言ってくる方でした。そうした彼女の持ち味が、演ずる役になるとみごとに生きて来て、他の追随を許さない役者の魅力となっていました。日本の女優には非常に珍しく、人間のニヒリズムってものが、強烈に出るんですね。きれいだけじゃなく、かわいらしさってものを