株式週間展望:ETF決算など波乱要素あり

7/5 17:40 配信

ウエルスアドバイザー

日経平均予想レンジ――3万9500―4万1300円

 今週の日本株相場は日経平均株価が3カ月半ぶり、TOPIX(東証株価指数)が34年半ぶりに史上最高値を更新した。一方で外部環境の変化は乏しく、株高を支える要素は必ずしも盤石とはいえない。米雇用統計を受けて始まる来週は、指数連動型ETF(上場投資信託)の決算に絡む売り需要も見込まれ、上値が一転して重くなる展開に注意をしたい。

<株高背景に政局ヘッジ解消?>

 日経平均は4日に3月22日の終値ベースのピークを更新し、5日には取引時間中の最高値も奪回した。その理由としては、円安に伴う企業収益の押し上げ期待に加え、米国でトランプ前大統領の返り咲きが現実味を増したことによる株高効果を先取りする動きなどが挙げられている。

 もっとも、そうした説明が核心を突いているとは言い切れない。「もしトラ」は以前から半ば既定路線となっており、先日のテレビ討論会で選挙情勢が劇的に変化したわけではない。また、円安にしても、株高に結び付かない「悪い円安論」はどこへいったのか。

 足元では世界的に政局不安が台頭し、マーケットもその動向を注視していた。特に極右政党・国民連合(RN)の躍進による混乱が懸念されたフランスの下院選への警戒感が強かったため、株式市場ではリスクヘッジの売りが先行したと考えられる。

 ただ、RNは6月30日の第1回投票を得票率トップで通過したものの、半数以上の選挙区は7月7日の決選投票に持ち越され、絶対多数(289議席)を確保できない見通しだと伝わっている。市場ではヘッジ売りの巻き戻しが起きている可能性があり、日本株に関してもこのところの指数の上昇の一因になったと推測される。

 また、TOPIXが高値を更新したことからも、直近のバリュー(割安)株人気は鮮明だ。米長期金利の上昇リスクが後退していることもあり、利回りを重視する物色が株式市場で盛んなようだ。しかし当然、株価上昇とともに割安感は縮減する。

<日銀・債券市場参加者会合も>

 そうした中で迎える来週は、需給面で日経平均やTOPIX型ETF決算(8、10日)で発生する分配金のねん出売りに注意したい。その規模は計1.2兆円程度と過去最高だった昨年を上回るとみられる。

 ETFは決算に合わせて現物株を売り、分配金をねん出するほか、各銘柄の権利落ちのタイミングで買い建てた先物を分配金の支払いの際に売る。ヘッジファンドなどによる先回り売りの買い戻しで相殺されるとみる向きもあるが、過去のデータを踏まえると油断できない。

 昨年は7月7、10日が指数連動型ETFの決算日に当たり、当日の日経平均はそれぞれ前日比で384円安、198円安となった。2022年(7月8日)は小幅高だったが、19~21年はおおむね200円前後下落している。

 また、もう1つの注意点が、日銀が9、10日に開く債券市場参加者会合(9日は銀行、証券関係者、10日はバイサイド関係者が参加)。6月の金融政策決定会合で決めた国債買い入れ減額の方針について、市場の意見を収集する。植田総裁が会見で口にした「相応の規模」への思惑が広がりそうだ。

 1ドル=160円台で推移するドル・円相場にとって、日銀の金融政策の正常化の動きは変動要素になり得る。ETFの決算と相まって、株式市場の波乱の種になりかねない。

<パウエル議会証言が支えるか>

 昨年は日経平均が6月にいったんピークを付け、秋ごろにかけて調整した。今年も同じ展開をたどるのかは何とも言えないところだが、少なくとも短期的には不安定な動きに備えたい。また、きょう5日の日本時間夜には米6月雇用統計が発表される。

 来週に株価浮揚に結び付く材料としては、米国で9、10日に予定されているパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言が挙げられる。ここで利下げ確度が高まれば、リスクオンムードが広がることが期待される。

 日経平均の予想レンジは3万9500―4万1300円とやや広めに取る。基本的にはイベントが集中する前半の軟調を見込む。米利下げ期待が高まれば、後半は持ち直しそうだ。

 このほか、国内で8日に6月景気ウオッチャー調査、9日に6月工作機械受注(速報値)、11日に5月機械受注が出る。12日はオプションSQ(特別清算指数)の算出日。海外では10日に中国で6月生産者・消費者物価。11日の米6月消費者物価も重要だ。

 また、7日にはフランス下院の決選投票だけではなく、日本の東京都知事選・都議補選も行われる。前者は予想以上のRNの議席獲得、後者は与党勢力の大敗が市場の逆風になりそうだ。

提供:ウエルスアドバイザー社

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最終更新:7/5(金) 17:40

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