ファンドマネージャーが語るファンドの特徴とコロナ禍およびポストコロナを見据えた投資方針
情報提供:株式会社 格付投資情報センター
2020年2月中旬以降、コロナ禍により相場は大きく変動しました。
このたび、多くの投資家が気になっている「コロナ禍およびポストコロナを見据えた投資方針」について、今年4月に発表されたファンド大賞2020の受賞ファンドのファンドマネージャーからコメントをいただきました。
投資初心者からベテラン投資家までぜひご覧ください。(公開日:2020/6/18)
「R&Iファンド大賞」は格付投資情報センター(R&I)が2007年から公表しているアワードです。5,000本を超える国内の公募投資信託の中から、運用実績のみで良い結果を残したファンドを表彰します。投信の評価に使われる最もポピュラーな指標のひとつであるシャープレシオを使うことで公平性と透明性を確保していることも当大賞の特徴と言えます。
東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン
日本株式運用グループ様
ニッセイ健康応援ファンド
矢部 能生さん
G・ハイクオリティ成長株式F(H無)
クリスチャン・ヒューさん
MSグローバル・プレミアム株式(H無)
角田 裕明さん
さわかみファンド
草刈 貴弘さん
ひふみ投信
藤野 英人さん
スパークス・新・国際優良日本株ファンド
藤村 忠弘さん
野村未来トレンド発見B(H無)
中山 貴裕さん
矢部 能生さん
株式運用部 上席運用部長
先進国の高齢化や新興国の経済発展、医療分野の技術革新等を背景に持続的な成長が見込まれる「健康関連産業」にフォーカスしたファンドです。医薬品や医療関連セクターだけでなく、スポーツ関連や健康食品、機能性化粧品等、今後の日本の成長を牽引し得るような新しいタイプの健康関連産業も投資対象にしているのが特徴です。
世界的に健康意識の一層の高まりが予想されますが、当ファンドにおいては基本的な運用方針に大きな変更はなく、引き続き健康関連産業にフォーカスした銘柄選択を行っていきます。特に、コロナショックを機に人々の生活様式が変化するなかで、一時的な特需ではなく不可逆的な需要拡大が見込まれる製品やビジネスに注目していきたいと考えています。
クリスチャン・ヒューさん
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント グローバル・オポチュニティ株式運用チーム 運用責任者
(当ファンドの運用一部委託先)
新興国を含む世界各国の「ハイクオリティ成長企業」を主要投資対象とします。「ハイクオリティ成長企業」とは、他社には真似のできない競争優位性と高い成長性を併せ持つ企業を指します。その中から市場価格が理論価格よりも割安度の高い約25~50の銘柄に集中投資します。5月末現在、基準価額はコロナショック前の水準をほぼ回復しています。
ポートフォリオで保有するハイクオリティ企業の優位性は、景気低迷期にはむしろ強まると考えられるため、新型コロナ感染の拡大後もポートフォリオの大幅な変更は行っていません。ただし、今回の危機の収束後には、消費者行動の変化や、サプライチェーンの再構築が起きると予想されます。そうした変化を前提に、各企業の本質的価値の見直しや、ビジネスモデルに対する評価の再検証を行っています。
角田 裕明さん
外部委託運用部・アシスタント
ファンドマネジャー
世界各国の上場株式に投資を行い、中長期的な値上がり益獲得を目指します。当ファンドの魅力は株式市場の下落局面における下値抵抗力です。短期的な相場の変動や景気の変動に左右されず安定して高い収益をあげる企業に投資を行うことで下落幅を抑え、長期における優れたパフォーマンスを実現しています。
当ファンドが多く保有する生活必需品、情報技術、ヘルスケア銘柄は、コロナショックによる下落局面でも先進国株全体と比較して業績は底堅く、株価の下落も相対的に小さい傾向が見られます。個別銘柄では在宅勤務など生活や社会の変革が進む中で、クラウド関連銘柄などがパフォーマンスに寄与しています。引き続き高いブランド力・高い利益率・豊富な手元資金を持つプレミアム企業へ投資を行うことで下落局面に強いポートフォリオを構築していきます。
草刈 貴弘さん
取締役最高投資責任者
長期投資を貫くために、独立資本と直接販売を設定来20年間守り続けています。投資家顧客(ファンド仲間)と共に企業を応援するという投資哲学で、投資先企業への投資期間は10年以上がほとんど。口座開設者の半数がファンド保有年数10年以上となっています。ファンドを通じ一般生活者の財産づくりを行い、経済的不安から解放されることで日本の社会課題解決に挑戦しています。
基本的な考え方は変わらず「本業で社会課題を解決する企業」「地域社会に貢献する企業」に投資をします。今回のことで人々の考え方が変化し、生活スタイルやニーズが変わるでしょう。その変化に対し、企業がどのように対応するのか注目しています。ただし、全てが変わるわけではないので、再評価されることや後に理解されることも忘れず、個別企業をしっかりと見ていきます。
藤野 英人さん
代表取締役社長 最高投資責任者
「日本を根っこから元気にする」をコンセプトに、主に日本の成長企業に投資をする投資信託です。2008年の運用開始以来、成長企業の目利き力と柔軟な運用姿勢、また顔が見える運用をご評価いただいてきました。また、保有期間に応じて信託報酬を実質的に還元する「資産形成応援団」という仕組みでお客様の資産形成を長期にわたって応援します。
ファンドにおける現金比率を比較的高位に保ち、通信、メディカル、IT関連など新型コロナウイルスの影響を受けにくい、もしくはむしろポジティブな影響があるセクターや企業にポートフォリオを集中させる「Withコロナ時代」に対応した銘柄選択を行ない運用しています。Withコロナ時代がしばらく続いていくことを前提に銘柄選択を行なうことが当面重要であると考えています。
藤村 忠弘さん※各商品の担当FM名は非開示の為、運用調査本部CIO名義で掲載しております。
スパークス・アセット・マネジメント
株式会社
取締役, CIO, シニア・ファンド・マネー
ジャー 運用調査本部管掌
高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待出来る日本企業を中心に20銘柄程度に厳選投資し、原則として長期保有することを基本とします。2008年3月のファンド設定来、リーマンショックやチャイナショックなど様々な予測困難な危機を乗り越え、長期で優れたパフォーマンスを継続してまいりました。
本質的に安全で、強固なバランスシートを有し、理解できるビジネスを展開している企業へ投資を行う、という当ファンドの基本方針から逸脱しない運用を継続します。短期的に厳しい状況に立たされても、基本方針を変えずに忠実に続けていけば、長期的なリターンに帰結すると考えており、慌てずに、客観的に見つめて、感情に流されずに運用にあたっていくことに尽きると考えています。
中山 貴裕さん
運用部(株式グループ)
シニア・インベストメント・オフィサー
未来のトレンドを見据え、中長期的な成長が見込まれる成長テーマを複数選定し、世界の成長企業の株式に投資を行っています。移り変わるトレンドを捉える成長テーマの入替を運用チームにお任せいただくことで、常に「今が旬」である成長テーマ・関連銘柄に投資し続けることができると考えています。中長期的な資産形成に適したファンドだと考えております。
新型コロナウイルスが起こした社会変化の多くは今後も継続すると考えています。例えばテレワークのように、本来なら数年間かけてゆっくりと浸透していったであろうものが急激に浸透しました。様々な技術革新への挑戦は今後も成長の中心であり続けると考えていますが、コロナを契機に成長が加速する分野、これまでの成長を継続できないであろう分野が出てまいります。どの企業が前者に含まれ成長を加速させるのかを見極めて投資してまいります。
当大賞のメインの部門で2017年4月~2020年3月までの3年間の運用実績で選考します。テーマ型や新興国関連のカテゴリーまで表彰ファンドの数が多く、足元のトレンドが把握できる部門です。
2000年4月から2020年3月までの20年間の超長期の運用実績で選考する部門で、他のアワードにはない当大賞の目玉の一つです。人生における長い時間をともにできる投信を探すのに最適といえます。
2010年4月から2020年3月までの10年間の長期の運用実績で選考する部門です。対象となるファンド数も多く、ファンドの実力が把握しやすい期間のため長期で優秀な投信を見つけるのに最適な部門です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)および企業型確定拠出年金向けの投信を対象に過去3年間の実績で選考する部門です。制度の普及に伴って対象ファンドの残高は右肩上がりに増えているため、運用会社各社の競争も激しくなっています。
R&IがNISA(少額投資非課税制度)にふさわしいと考える基準をもとにスクリーニングした投信を対象に過去3年間の実績で評価する部門です。あらかじめ信託報酬が相対的に高い投信が排除されているなどの配慮があるので、初心者にも参考になるといえます。
「R&Iファンド大賞」は、R&Iが信頼し得ると判断した過去のデータに基づく参考情報(ただし、その正確性及び完全性につきR&Iが保証するものではありません)の提供を目的としており、特定商品の購入、売却、保有を推奨、又は将来のパフォーマンスを保証するものではありません。当大賞は、信用格付業ではなく、金融商品取引業等に関する内閣府令第299条第1項第28号に規定されるその他業務(信用格付業以外の業務であり、かつ、関連業務以外の業務)です。当該業務に関しては、信用格付行為に不当な影響を及ぼさないための措置が法令上要請されています。当大賞に関する著作権等の知的財産権その他一切の権利はR&Iに帰属しており、無断複製・転載等を禁じます。
詳細な選考基準はR&Iのウェブサイトをご覧ください
日本株式運用グループ様
ファンドの特徴を教えてください
日本のオーナー企業(経営者が実質的に主要な株主である企業)を主要投資対象とします。オーナー企業は、長期的視野に立った経営が行われやすいことや、意思決定が早く、外部環境の変化に対し柔軟な対応ができる素地を備えていることが強みです。こうした強みが、コロナショックのような逆風下において発揮されるものと期待しています。
コロナ禍およびポストコロナを見据えた投資方針について教えてください
基本的姿勢として、コロナに着目した運用は行っておりませんが、感染第2波等のリスクを勘案すれば、「withコロナ」(需要減少が相対的に小さいもしくは社会変化がプラスに働く企業など)⇔「afterコロナ」(次世代テクノロジーなどを成長ビジネスとして位置付け、一定のシェア確保が可能と考える優良製造業など)の機動性を持った運用も重要と考えており、柔軟な対応を心がけて運用を行って参る所存です。