武井壮いわく「俺は速いスピードでモノを動かすのは得意。でも、同じ力を加え続けるのは弱い!」 武井壮いわく「俺は速いスピードでモノを動かすのは得意。でも、同じ力を加え続けるのは弱い!」

ひろゆきがゲストとディープ討論する『週刊プレイボーイ』の連載「この件について」。〝百獣の王〟武井壮さんとの対談10回目は、前回に引き続き五輪の新種目について。2028年のロス五輪の近代五種は、馬術に代わって『サスケ』を基にした競技が採用される予定です。そんな話をしていたら、なぜか武井さんの弱点がわかってしまいました。これで武井壮を倒せる?

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ひろゆき(以下、ひろ パリ五輪真っ最中なのにだいぶ気が早いのですが、2028年ロス五輪の近代五種で人気番組『SASUKE(サスケ)』(TBS系)を基にした障害物レースが採用されることになりましたよね。

武井壮(以下、武井 近代五種のひとつの馬術がサスケに代わることになったみたい。サスケはアメリカでも大人気で『ニンジャウォーリアー』という番組名で高視聴率を獲っているし、スターも生まれている。アスレチック的な複合競技だから、五輪に採用されると面白いと思うよ。

ひろ サスケって見ている側はめっちゃわかりやすいですよね。ルールが単純で英語がわからない人でも楽しめるじゃないですか。なので、アメリカでウケるのも納得です。あとギミックもあるから「これ、どうやって突破するんだろう?」というワクワク感もありますよね。

武井 なんか、実写版のマリオを見ているみたいな感じがするよね。「こんなステージ、どうやってクリアすんだよ!?」みたいな。

ひろ しかも「え、このステージをクリアする人間がいるんだ!」という驚きもある。スポーツって、球技なら決められた枠にボールを入れたら得点できるとか、100m走なら誰が一番速いかという「できること」で競いますよね。でも、サスケは「クリアできないのが当たり前」っていうあんまりない競技だと思うんですよ。

武井 ああ、確かにそうかも。

ひろ それに高跳びとかは高くなるにつれて徐々にふるい落とされていきますけど、サスケって1stステージで多くの人が脱落する。2ndステージでも容赦なく多くの人が脱落します。ちなみに、武井さんはサスケに挑戦したことあります? 

武井 一度出たことがあるけど、ロープを握っていた手が滑って落ちちゃった。サスケの2ndステージくらいまでなら俺の能力的にはクリアできる。ただ、3rdステージの腕の力だけでぶら下がる系の障害物は苦手なんだよね。

ひろ え、意外です。武井さんならいつまででもぶら下がっていられそうですけど。

武井 それが全然無理なのよ。俺は腕や指で全体重を支えるみたいな能力を鍛えていないから。3rdステージの障害物はパワーも必要だけど、前腕と指にずっと力を入れ続けるいわば持久運動なの。

ひろ 瞬発力ではないってことですね。じゃあ、武井さんはクライミング系ってあんまりやっていないんですか?

武井 全然やっていない。ただクライミングは脚を使えるじゃん。俺は脚の筋肉のスタミナはめちゃくちゃあるから、脚を使えるならいくらでもぶら下がっていられる。でも、手だけになった瞬間にダメになる。だから懸垂とかも苦手なんだよね。

ひろ 球を速く投げたり、槍を遠くに飛ばしたりするので、懸垂も得意なイメージがありますけど。

武井 俺はスピードを出すことに特化していて、速いスピードでモノを動かすのは得意なんだよ。でも、ずっと同じ力を加え続けるというのはめっちゃ弱い。

ひろ それって両方鍛えるとスピードが落ちたりするんですか。

武井 明らかに落ちる。機能的に真逆だから。ずっと筋肉を緊張させ続けるのか、緊張と弛緩を繰り返すのか。俺は少ないエネルギーでより速く、より遠くに運ぶというのを得意としているの。で、どちらかに振り切ると、当然片方の能力は格段に落ちる。ボディビルダーが速く走れないのはそれに近い。だから、俺が持っている力はサスケのステージが進んだ先で求められるような能力ではないんだよね。

ひろ ちなみにほかに苦手な種目ってあるんですか?

武井 坂や階段を上り続ける系もダメだね。ずっと出力し続けないといけないから。

ひろ でも、陸上競技は強いじゃないですか。武井さんが得意としている十種競技にも400m走や1500m走がありますよね。

武井 走るのはトラックみたいな平地じゃん。平地だと力を抜くことができるのよ。地面にパンって足がついたとき以外は力がいらないから。でも、坂道や階段って持続的に力を出し続けないといけない。その時間が長ければ長いほど俺は向いていないんだよね。

ひろ なるほど。これでようやく〝武井壮の倒し方〟がわかりました(笑)。

武井 やべえ(笑)。のんきに弱点をさらしてしまった。

ひろ つまり、武井さんを倒すには持久戦に持ち込めばいいんだ。

武井 例えば、山岳地帯でのサバゲーとかなら負けるかもしれない。

ひろ あはは。じゃあ山を登ればこっちのもんだ。

武井 「あいつ平地では爆速なのに、山を登ってくるときには肩で息をしてるぞ。登るときに鈍るから、そこがチャンスだ」ってやられる可能性はある。

ひろ 水泳はどうなんですか?

武井 正直、そんなに得意じゃない。50mくらいならまあまあ速いけど、100m以上になると徐々にタイムが落ちてくる。長い距離の水泳は持久運動じゃん。しかも、陸上よりも持久運動としての側面が強いから、距離が延びれば延びるほど苦手になるね。

ひろ じゃあ、自転車みたいな持久力がものをいう競技ならワンチャン僕でも勝てるんですかね。

武井 いけるかも。ただ、自転車はまあまあ強いよ。ずっとこぎ続けてないし、意外と脚の筋肉を休めることができるから。平地のスプリントとダウンヒルだったら俺は速いと思う。ただ、山や峠をひたすら走るヒルクライムだったら、ひろゆきが俺に勝てる可能性は十分にあると思う。

ひろ 勾配があるからずっとこいでないといけないですもんね。

武井 そう。もし「自転車の上りだけで勝負しましょう」と言われたら、頭を下げて少し時間をもらって2ヵ月前くらいから合宿に入るね。

ひろ あはは(笑)。やっぱり向き不向きはちゃんとあるんですね。百獣の王とはいえ。

武井 それはそうよ。

ひろ ただ、考えてみれば、持久力は草食動物の能力ですよね。肉食動物は高い瞬発力でもって、一瞬にして獲物を狩る。実際チーターも長距離は走れないですし。

武井 そうだね。ちなみに動物界でいえば渡り鳥が一番持久力があるんじゃないかな。1000〜2000kmを平気で飛び続けるじゃん。で、鳥の胸の筋肉は疲労物質を分解するスピードが動物の中でも異様に速いといわれてるんだよ。人間は疲れると筋肉が動かなくなったり、つったりするじゃん。鳥の胸の筋肉はそういうことが起きない。

ひろ 確かに海の上で疲れたら死んじゃいますからね。てか、疲れを感じた鳥はみんな死んで淘汰されていったんでしょうね。で、疲れないやつだけが生き残った。

武井 進化の過程で生まれた素晴らしい能力だよね。ただ、俺は鳥とは正反対だけど(笑)。

ひろ 瞬発力重視の肉食動物タイプですもんね。というわけで、結局五輪の話とは関係なくなってしまいましたね(笑)。

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■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 
元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など 

■武井 壮(So TAKEI) 
1973年5月6日生まれ。東京都出身。タレント、元陸上十種競技日本チャンピオン。格闘技、野球、ゴルフなど様々なスポーツの経験を持つ。公式Webサイトは【https://gogotakei.com】、公式Xは【@sosotakei

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